東方神起はファンと共に“新たな一歩”を踏み出した パフォーマンスを更新し続ける飽くなき挑戦心

東方神起、ファンと踏み出す“新たな一歩”

圧巻のソロステージ、そして怒涛のクライマックスへ

 和やかなMCを経て、後半は東方神起の引き出しの多さをさらに披露していく。心がほっこりと温まるカントリーサウンドの「Road」。ドラマチックなメッセージソング「Make A Chance」。そして「リクエストが多かったから」と恋人にプレゼントを用意してきたかのように披露された、ユンホのソロ「Burning Down」は、初めてポールダンスに挑戦するというサプライズ付き。片手で体を支えてみせたり、ポール越しに腰をくねらせたりと、しなやかでセクシーな振り付けに、黄色い歓声が飛ぶ。

 興奮冷めやらぬうちに、今度は客席からアコースティックギターを抱えたチャンミンが登場。そのままセンターステージに上がると「美しい夜ですね」と、はにかむと客席はメロメロに。夕日から、星が瞬きはじめ、夜空が広がる……そんな美しい映像とリンクして、チャンミンの月光のように繊細で透明感のある歌声が会場を包み込んだ。

 ソロ曲を終えると、ステージはカジノのような雰囲気に早変わり。「運命(The Chance Of Love)」「SURISURI[Spellbound]」は、ミュージカルテイストで披露される。ユンホは色っぽい手つきでカードを操り、チャンミンの投げキスが飛び出したりと、まさに“目が足りぬ”状態に。

 ここまでで、17曲。全力で歌い踊ったふたりは、自らの限界を超えるがごとく、真骨頂のダンスナンバーでラストスパートをキメる。新曲「Jealous」はミディアムテンポながら、複雑な動きが絶え間なく続き、ふたりが女性ダンサーを抱き締めるような振り付けも。これは観客のリアルなJealousを呼び起こし、歌の世界観にどっぷりと浸かってもらう狙いだろうか。

 だが、そんなJealousも愛のスパイスと言わんばかりに、ファンを大いに沸かす「Trigger」が待っていた。ムービングステージで会場を移動しながら、銃を構えるように客席を見据えて撃ちまくるふたり。心を撃ち抜かれてしまうファンが続出し、会場は大歓声に包まれる。そして、セカンドステージでは本編ラストとなる「"O" -正・反・合」。ユンホのソロダンス、そして万華鏡のように変化するフォーメーションと、髪を振り乱すほど雄々しい振り。そこに客席からの掛け声が轟けば、いよいよドーム全体が陶酔状態に。これでもかと激しいダンスで畳み掛け、花火の特効で幕を下ろすという劇的なエンディングは、しばし呆然としてしまうほどの迫力だった。

ファンが見てるから、東方神起は歌い続ける

 「新しいステージを見せたかった」アンコールに応えて登場したふたりは、そう語った。ユンホは「Weep」の好きな歌詞を話題に出し「みなさん(君)が見てるから僕は歌うんだっていうフレーズがあるんですけど、その歌詞の内容みたいに、小さいステージから、日産(スタジアム)もドームもアリーナもできるようになって。これからもここにいるみなさんに苦しみとかいろんなことがあれば、ちょっと足りないかもしれないんですけど、頑張って僕の歌で忘れさせてあげたいし、もし喜びがあれば一緒に分かち合いたいなって思います。これからも一緒に歩いていきましょう」とファンへの感謝を語った。

 そして、チャンミンはすっかり伸びた前髪に思いを馳せて「ある意味で成長、ある意味では老けていくんですが」と笑いを誘いながらも、最後は「時間の流れを考えてみたんですけど。これからも東方神起を応援してくださる方々と、100%同じ時間の流れを感じることはできないかもしれないけれど、たまにでもいいから一緒に、幸せな気持ちを共有していきたいと思いました。みなさんの思い出になれる東方神起のステージを、これからも一生懸命創っていきたいなと思いました」と愛と決意を見せる。

 東方神起は、いつだって最前線に立つソルジャーだ。謙虚さを忘れず、研鑽を積んでいく。彼らが見据えているのは、最新にして最高のステージ。そんな東方神起の挑戦をリアルタイムで見届ける幸せを、これからも噛み締めていきたい。

(取材・文=佐藤結衣)

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