back number、『初めて恋をした日に読む話』主題歌描く登場人物の心の内 物語との親和性を探る

 『大恋愛~僕を忘れる君と』に提供した「オールドファッション」でも、主人公の思いをなぞるような歌詞で視聴者の胸を揺さぶったback number。それを可能にしたのは、事前に脚本を読み込み、物語の世界観を自身の中に取り込む作業があったから。事実、作詞・作曲を担当した清水依与吏(Vo/Gt)は「オールドファッション」の制作にあたって、ドラマのプロットと数話の台本を読んだ上で得たインスピレーションを基に書き下ろしたとしている。そしてそれは「HAPPY BIRTHDAY」でも変わらず、昨年10月に開催されたドームツアーの最終公演終了直後にドラマの台本を読んで書き下ろしたとのこと。物語と向き合う真摯な姿勢がドラマと主題歌との親和性を生み出しているのは間違いない。

 第1話を視聴したファンからは、「曲だけ先に聴いてピンと来なかったところが ドラマ観て 繋がった! やっぱり依与吏さんの歌う世界が好きです」「録画で見たけど想像以上に楽しかった!!! 「「HAPPY BIRTHDAY」もラジオで聴くのとまた違って、沁みる~」との声が上がり、早くも高評価。まだドラマは始まったばかりだが、今後話数が進むにつれ、一層「HAPPY BIRTHDAY」が切なく響いてくるものになるのでは、と期待がかかる。とりわけ順子が幸せを手に入れた時、フラれることになるであろうふたりの男性がいることを考えると、歌詞にも別の意味が立ち上がってくるのではないだろうか。主題歌決定の報の際、清水が「主題歌、と呼ばれるものの完成は、その物語の最終話と共にやって来る気がしているので、この歌がドラマの中で、どの登場人物のどんな気持ちに寄り添っていくのか、とても楽しみにしています」(引用:back number、TBS系火曜ドラマ『初めて恋をした日に読む話』主題歌に 『大恋愛』から連続抜擢)と、意味深なコメントをしている点にもぜひ注目を。発言の真意とともに、ドラマの展開を追いかけてみるのも面白いかもしれない。

■渡部あきこ
編集者/フリーライター。映画、アニメ、漫画、ゲーム、音楽などカルチャー全般から旅、日本酒、伝統文化まで幅広く執筆。福島県在住。

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