欅坂46 長濱ねるのノスタルジックな魅力 音楽にまつわる思い出語ったラジオを聞いて

 そして番組内では、“長濱ねるを作った5曲”と題して、長濱が20年間耳にした大好きな曲や、感銘を受けた曲、長濱的五つ星ソングを紹介。

 1曲目は内山田洋とクール・ファイブ「長崎は今日も雨だった」。メインボーカルの前川清が長濱と同じ長崎県出身ということでのチョイス。「若干二十歳で、この渋さと艶と貫禄ですよ。こんな渋い歌を歌う同級生出会いたかったなー(笑)」と笑いながらも絶賛。渋い一面を持つ長濱らしい一曲だ。

 2曲目は、CARPENTERS「Yesterday Once More」。5歳ぐらいの時にピアノの発表会で歌った思い出の曲。その発表会で父が唐突に「長濱家も出させてくれ」と提案し、家族5人でアニメ『ドラえもん』の曲を演奏したという。兄が当時の一張羅である少年野球のユニフォームを纏い、担当楽器であるカスタネットを真面目に叩いていたと説明しながら、「思い出すだけで笑っちゃう」と爆笑する長濱。「私だったら絶対反抗するよなと思って。お兄ちゃん、素直に家族のそういうのに参加してて偉いなと思いますね」と語った。

 3曲目は、Phillip Phillips「Home」。中学生の頃、ロンドンオリンピック真っ只中の時期に、1カ月間アメリカにホームステイしていた長濱。「アメリカの体操かな? のテーマ曲に選ばれていたのがこの曲で」と振り返り、同郷の内村航平選手の応援に力が入っていたという当時、それに気づいたホストファミリーが一緒に声援を送ってくれたと話す。この曲を聴くと、その時の様子やホームシックになったことを思い出すと明かした。

 4曲目は、SUPER BUTTER DOG「サヨナラCOLOR」。欅坂としてロックフェスに出演することが多く、その中で出逢った曲だという。〈僕をだましてもいいけど/自分はもう だまさないで〉という歌詞が好きと説明した。寂しい時やうまく行かないと落ち込む夜に、一人でしんみり聴いているという、上京してからの思い出の曲。

 最後の5曲目は、欅坂46の「アンビバレント」。長濱の人生の転機となった欅坂への加入、そしてそんな欅坂のライブで二十歳を迎え、ファンが「ハッピーバースデー」を唄ってくれたのがすごく大きな出来事だったと、幸せを噛みしめるように語った。

 今回の番組で一番印象に残ったのは、邦楽の一番好きな曲として紹介した、荒井由実(松任谷由実)が二十歳の時に作った楽曲「やさしさに包まれたなら」。五島列島に住んでいたころ、移動式パン屋さんが土曜日のお昼だけ別の集落から山を越えて売りに来た時に流れていた曲だという。「この曲が土曜日に聞こえると、お母さんが、“ねる買ってきて”って小銭をくれて。お昼ご飯を走って買いに行ってた思い出がすごく強くて、なのでこの曲を聴くと、その時の昼下がりの温度とか、空気とか、景色とか、今でも思い出して、すっごく大好きな曲ですね」とコメント。実際は知らないのに、なぜかその光景が頭に浮かび、どこか懐かしさを感じさせる長濱のトークに、改めてラジオDJとしての才能を感じた。

 先月の『ANN』で披露した姉の結婚式の話や、今回のピアノ演奏会の話など、長濱家の話はさくらももこのエッセイに出てきそうな、ほのぼのエピソードが満載。幼少期の思い出を本にしたらドラマ化されるのではないかと思うほどだ。同時に98年生まれなのに、どこか昭和の雰囲気を醸し出す長濱のノスタルジックな魅力にも気づかされた。

 そんなユーミンと『NHK紅白歌合戦』(以下、『紅白』)で同じステージ上に立ったという長濱にとって夢のようなエピソードや、北島三郎と握手した『紅白』裏話、小池との二十歳の誓いなど、他にも面白エピソードが満載だった『欅坂46・長濱ねる 二十歳の一曲』。あっという間の3時間だった。

(文=本 手)

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