『ひなビタ♪』の新たな一面が開花した瞬間 初のリアルライブイベントを見て

『ひなビタ♪』ライブレポート

温かく和やかなムードのライブ

 各キャラクターの持つ音楽性とは違った曲調を楽しむことができる、デュエットの新曲が披露されたのも、この日の見どころの一つになった。まず日高と山口による「スイーツはとまらない♪」は、〈キュン〉や〈イエス〉といった一言がかわいらしく、ラテン調のリズムが軽快だ。山口と津田による「熱情のサパデアード」は、スパニッシュな楽曲。フラメンコを取り入れた、情熱的で大胆さもある振り付けが実に華やか。そして日高と津田による「革命パッショネイト」は、アッパーのロックチューン。「まり花がこれまで歌ってこなかった、かっこいい曲が歌いたい! とTOMOSUKEさんに作ってもらった」(日高)とのことで、2人のパワフルなボーカルが観客を魅了し圧倒。『ひなビタ♪』の新しい一面が、開花した瞬間だった。

日高里菜(山形まり花役)
山口愛(春日咲子役)
津田美波(和泉一舞役)
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日高里菜(山形まり花役)
山口愛(春日咲子役)
津田美波(和泉一舞役)
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 そうした多彩な楽曲の演奏を一手に引き受けたのは、プログレッシブ・インストバンドのDEZOLVEに、3人組バンドのエドガー・サリヴァンの坂本遥(Gt)を加えたスペシャルバンド・でぃぞビタ♪だ。音源とは違った編曲と演奏でライブに花を添え、音にこだわる観客をもうならせた。音源とは違う部分と言えば、コラボも同様で、「琥珀のくちづけ~まり花&一舞 duet edition~」を、津田と日高のデュエットで聴かせたのも実にレアだった。他にもアンコールでは、ゲストにここなつを迎えて、音源とは違うメンバー編成で「じもとっこスイーツ♪」や「チョコレートスマイル」を披露。ここなつの新曲「ヒカリユリイカ」も生バンドで初披露され、この日ここでしか聴けない内容に、観客も大満足といった様子だった。

日南結里(東雲夏陽役)、小澤亜李(東雲心菜役)

「みなさん、私たちの愛は届きましたか。私もみなさんからの愛を、いっぱい受け取りました。ライブをやりたいとずっと言っていて、その夢が叶いました。ひなビタのメンバーと一緒に歌えるだけでも幸せなのに、生バンドとステージに立てて本当に楽しい時間でした。とってもとってもありがとう。みなさん良いお年を!」(山口)

「“6年も経った”と思うけど、“6年しか経っていない”とも思うし。これはチャンスだし、大きな一歩だなって思います。私は言葉にするのが下手なぶん全部パフォーマンスに込めたので、伝わっていたらうれしいです。ひなビタを伝説にしたい! 私は歌って伝えるので、みんなで伝説にしていきましょう!」(津田)

「ひなビタが始まって6年経ち、やっとみんなの前でまり花として歌うことができて、夢見ていたことが実現できて本当にうれしいです。6年も待たせてしまってハードルが上がっていたぶんプレッシャーもあったけど、まり花の『大丈夫だよ』というセリフに、すごく助けられました。想像していたより、何倍も何十倍も楽しかったです!」(日高)

 ステージを終えて、そう気持ちを語った3人の、キャラを越えた仲の良さが随所から伝わってきたライブ。「走れメロンパン」という曲で、日高と津田がはにかみながら見つめ合って手を繋ぐ姿や、この日のために津田がお揃いのシュシュを選んで用意したというエピソードからも、彼女たちの温かく和やかなムードが溢れ、会場にはそれが空気感として流れていた。そんな3人の様子をやさしく見守るように、でも熱さを持って声援を送った観客の姿も印象的だった。

 近年は、マルチメディア展開で声優がリアルライブを行うコンテンツが急増している。その中でも『ひなビタ♪』は、フォローする音楽ジャンルの幅広さが魅力で、音楽やライブが好きなファンをはじめ、こと音楽に詳しい声優/アニメファンとの親和性も抜群だ。『ひなビタ♪』は、今後最注目のコンテンツの一つであると、この日の盛り上がり、観客の熱気が物語っていた。

(取材・文=榑林史章/写真=(c)2018 Konami Digital Entertainment)

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