タッキー&翼に中居正広が託した思いーー年末最後のラストステージを見て感じたこと

 もしかしたらプロデューサーに転身する滝沢にとって、最初にして最大の課題は、自らの引退劇だったのかもしれない。中居の言葉を重く受け止め、動き出した滝沢の手腕は、実に見事だった。12月29日には『超豪華!! 最初で最後の大同窓会!8時だJ』(テレビ朝日系)をオンエア。嵐や関ジャニ∞、生田斗真、山下智久、風間俊介、長谷川純、そしてMCを務めたヒロミら、もう二度と集まらないであろう豪華メンバーが集結。スターを夢見て切磋琢磨してきた当時の彼らの思いも、しっかり昇華させていった。すでに事務所を退所した今井翼が出演するというのも、過去には例を見ない展開だ。

 そして、約11年3カ月続けてきたラジオ『タッキーの滝沢電波城』(ニッポン放送)では、滝沢を慕う後輩を代表して2週に渡りKis-My-Ft2の北山宏光をゲストに招く。滝沢の背中を置い続けてきた後輩たちが、どんな思いを抱いているのか。それに対して滝沢はどのように応えているのか。それを生の声で届けるのも、後輩やファンを思ってのことだろう。

 最終回となった12月29日放送回では、いちばん支えてくれたファンたちの言葉も紹介。滝沢の作品を通じて、難しさを感じていた母娘関係が良好になったこと、滝沢を大切に思う仲間ができたこと……滝沢秀明をきっかけに生まれた人と人とのつながりは、彼が新たな道に進んでも続いていく。そんな前向きな気持ちにさせてもらえるものだった。

 「ここまでくるとね、言葉で伝えるというのがなかなか難しくてですね。感謝しきれないというか。言葉じゃなくて行動で僕は示していきたいなと思いますので。これからタレント滝沢秀明じゃなく、ひとりの男・滝沢秀明としてみなさんの応援がほしいなと思いますので。気持ちの中で応援していただけたらうれしいなと思います」そして、滝沢が最後にかけたのは、〈こんな時に限って/何も出来ないけど/たったひとつだけ誓うよ…ずっと 忘れない〉と歌うタッキー&翼の「epilogue」だった。

 泣かない男・滝沢秀明は、最後の最後まで涙を流すことはなかった。『ジャニーズカウントダウン2018-2019 平成ラストの夢物語!ジャニーズ年越し生放送』(フジテレビ系)で叶った今井翼とのラストライブ。ふたりでガッチリと握手を交わし、先輩、そして旧友に見守られ、次世代を担うジャニーズJr.たちと共に「REAL DX」「Venus」「夢物語」を歌い、踊り、肩を組んで笑っていた。「みなさんに恩返しができるよう、しっかりやっていきます」(今井)、「23年間、めちゃくちゃ楽しかったです! どうもありがとうございました」(滝沢)。ふたりもそしてファンも、前を向くことができた2019年の始まり。それぞれの『。』の先に紡がれる、新しい物語が輝かしいものになることを願っている。

(文=佐藤結衣)

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