新しい地図への楽曲提供で話題 中学生トラックメイカーSASUKEが持つ、SNS時代ならではの才能

新しい地図 join ミュージック「#SINGING」

 さて、「#SINGING」では平成の芸能界を代表するといって過言ではない3人へ楽曲を提供したSASUKE。歌詞は永遠に続くかのようなパーティの“今”のよろこびを歌い上げるポジティブな内容で、ステージの上でパフォーマンスを通じて人びとを魅了する3人を描いているようにも、ダンスフロアでオーディエンスと合唱し踊る様子を描いているようにも読める。個人的には、パーティソングには“夜”につかのま現れるユートピアという刹那性がつきもの、というイメージがある(近年でいえばtofubeats「朝が来るまで終わる事のないダンスを」を挙げればわかりやすいか)のだが、陽光の差す明るい情景として終わらない歌、終わらないパーティを描いているのが面白い。昼間の生活に疲れた大人のための逃避の場ではなく、老若男女が集う場所として、「#SINGING」というハッシュタグが掲げられている、というところだろうか。

 アレンジはウェルメイドな四つ打ちのダンスチューンで、歌詞の伝えるメッセージと同様にポップスとして広く受け入れられそうな親しみやすさがある。アップテンポですこし性急な印象の譜割りも、3人のパフォーマンスが受け止めている。間奏ではビートがハーフになってトラップ風のグルーヴとメロディアスなリードシンセが差し挟まれ、現代的なフレイバーをさりげなく加えている。ビッグネームへの初の提供曲で若くしてこれだけ安定したクオリティを見せつけられるのは見事だ。

 ステージパフォーマンスでも注目を集めるSASUKEだけに、新しい地図の3人とのステージでのコラボも期待できる。今後、どのような場で彼らの活躍を見ることができるかが楽しみだ。

■imdkm
ブロガー。1989年生まれ。山形の片隅で音楽について調べたり考えたりするのを趣味とする。
ブログ「ただの風邪。」

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