Poppin'Party&RAISE A SUILENら放つ“彼女たちだけの輝き” ライブに見るバンドリ!の多様性

『バンドリ!』ライブで示した多様性

 一方、2日目「Day2:Poppin'Party『Let's Go! Poppin'Party!』」で感じたのは、これまで『バンドリ!』プロジェクトの顔役として作品/リアルライブの両方でシリーズの可能性を切り拓いてきたPoppin’Partyだからこそ伝わってくる、“『バンドリ!』プロジェクトの本質的な魅力”。戸山香澄役の愛美(Gt.&Vo.)が開口一番「両国のみなさん、こんにちはー!」と挨拶すると、1曲目の「ぽっぴん'しゃっふる」から観客を一気に自分たちの世界に引き込み、「二重の虹(ルビ:ダブル レインボウ)」では背後のセットが虹色にキラキラと輝く。続く「ティアドロップス」では、冒頭、愛美の歌声と花園たえ役の大塚紗英(Gt.)の鋭いギターリフが鳴った瞬間に大歓声が巻き起こると、その後もメンバーが立ち位置を自在に交換したり、互いにアイコンタクトを取ったりしながら、思わず体が動いてしまうような、Poppin’Partyらしい「バンドの楽しさ」を詰め込んだ演奏が広がっていく。

 また、この日はPoppin’Partyのメンバーが戦隊ヒロインに扮したオリジナル映像コンテンツ『リズム戦隊 ポビレンジャー』が随所に挿入され、彼女たちが様々なゲームに挑戦して怪人を倒していく姿に声援や笑いが起こる瞬間も。しかし、今のPoppin’Partyは様々な経験を積んだ鉄壁のライブバンド。ひとたび演奏がはじまると、安定感と迫力を兼ね備えた演奏で会場をさらに盛り上げていく。

 中盤はメンバー全員がステージ前方に集まって披露した「ピコっと!パピっと!!ガルパ☆ピコ!!!」を経て、“クリスマスライブへの準備”をテーマにした寸劇がはじまり、“実はそのライブが今日だった!”というオチから「最高(ルビ:さあ行こう)!」や「クリスマスのうた」を披露。以降は「ときめきエクスペリエンス!」「Time Lapse」などを経て、ステージの裏まで360°いっぱいに詰め掛けた観客にウェーブを促すと、本編最後は「STAR BEAT!~ホシノコドウ~」で曲中のキメを5人と観客とが合唱。スクリーンのアニメーションとリンクして、実際の会場にも星が降り注いだ。

 アンコールでは暗闇の中で発光するスニーカーを履いた5人が登場し、「ガールズコード」「キズナミュージック♪」といった新曲群を披露。中でも「キズナミュージック♪」では、歌割りを担当するメンバーひとりひとりに順番にスポットライトが当たり、サビで全員の声が合わさることで、メンバーの絆が大切に表現されていたのが印象的だった。ラストは彼女たちのはじまりの歌「Yes! BanG_Dream!」で、観客も含めた全員でジャンプ! ガールズバンドの王道を行く雰囲気と、5人らしい突き抜けた明るさ、楽しさで観客を魅了した。

 2日間を終えて何よりも印象的だったのは、今の『バンドリ!』に生まれている、個性豊かなバンドの「多様性」。初期からプロジェクトを牽引してきたPoppin’Partyはもちろんのこと、『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』の開始とともに誕生したAfterglow、Pastel*Palettes、Roselia、ハロー、ハッピーワールド!、先輩バンドのGlitter*Greenなど、今の『バンドリ!』には音楽性もキャラクターも様々なバンドが多数存在している。

 そして今回、RAISE A SUILENがリアルライブからアニメへの出演決定により、声優陣が実際にバンドで演奏する「リアルライブ」と、アニメ/ゲーム/コミックなどで表現される「作品世界」の両方が、より一層互いに影響を与えていきそうな雰囲気もある。2019年はアニメの2nd Season、3rd Seasonの放送開始で新たなフェーズに突入していくだろう『バンドリ!』プロジェクトにとって、この多様性こそが最大の魅力になるんじゃないかーー。そんなことを感じさせてくれるような、それぞれのバンドの、“彼女たちだけの輝き”が詰まった2日間だった。

■杉山 仁
乙女座B型。07年より音楽ライターとして活動を始め、『Hard To Explain』~『CROSSBEAT』編集部を経て、現在はフリーランスのライター/編集者として活動中。2015年より、音楽サイト『CARELESS CRITIC』もはじめました。こちらもチェックしてもらえると嬉しいです。

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