Creepy Nuts、“Jポップとしての存在”を模索する先に広がる期待 Zepp Tokyoワンマン振り返る

Creepy Nuts、ワンマン公演を振り返る

 これは良くも悪くも、という、決してネガティブではないが、ポジティブなだけでもない意味で使うが、Creepy Nutsのライブはやはり“いなたい”。彼らがアプローチするビートは、例えばトラップのような最先端のサウンド性では無いし、かといって王道のブーンバップビートでもない。ロックバンドとの対バンやロックフェスへの参加など、“彼らの現在の土俵”という部分も作用していると思うが、ここ最近の作品に顕著なのは、よりロッキッシュなビート感であったり、バンドとの親和性も感じさせるサウンド性だ。BPM帯にしても、いわゆるヒップホップの王道的なBPM90付近や、トラップ的なもっと遅いBPMではなく、「手練手管」や「スポットライト」はBPM120付近、「ぬえの鳴く夜は」はBPM200程度と、そのサウンド性はロックにより近い。そこに対してR-指定のラップも、そのビート感に基本的にはオンで合わせ、クリア・スピーキングなラップと併せて、より分かりやすくアプローチする。

 その意味でも、例えばBAD HOPやYENTOWNのように、最新のビートを最新のスタイルとファッション性も込みで提示するというスタイルと比すれば、そのアプローチの差によって、Creepy Nutsが“いなたく”映ってしまうのは致し方ないだろう。

 しかし、R-指定がCreepy Nuts以外の客演作で見せる、現行シーンともしっかりと拮抗するラップスキルや、DJ松永のターンテーブリストとしてのスキルなどを考えると、彼らは“いなたい”ことしか出来ないわけでは決して無い。

 その意味では、自分たちのエゴも含めた、アピールしたいメッセージやアプローチと、彼らがパーソナリティを務める『オールナイトニッポン』や各種メディア露出で獲得したファンが求めるものの、最大公約数を明確に意識しながら、アルバム作りやライブ制作をしていることを感じさせられた。それはリスナーにおもねっているということではなく(そこまで器用ではないだろう)、今回のライブでは、現状のマスで保守的な音楽シーンの中で求められている“需要の高い音楽性”と、ヒップホップを根本にした“自分たちの音楽性”を止揚させ、そこで“JポップとしてのCreepy Nutsの存在”を模索しているように感じさせられた。それはまだ試行錯誤の段階であることは想像できるが、そこを抜けた先にはなにが待っているのか、楽しみにさせられるライブだった。

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(文=高木 “JET” 晋一郎)

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