Kis-My-Ft2はやっぱり“Yummy”なグループだ 初の5大ドームツアー収めた映像作品を見て

 今回のステージ衣装は玉森裕太がプロデュースを担当した。「ワイドなパンツに、いろんなものを付けると動きが……ひらひら感がいいなと思ってて。あれ、もう自己満かな?」と試行錯誤。“自己満足“とは、妥協の知らない人だからこそ出る言葉だ。玉森が嬉しそうに衣装へのこだわりを語る顔を見れば、スタッフと連携し、その想いがしっかりと形に落とし込まれたのだろうと想像できる。

 そしてステージ演出を担当したのは、二階堂高嗣と千賀健永。バラエティでは賑やかに振る舞う二階堂だが、厳しい表情でリハーサルを見つめる。そして、本番でハットをかぶって踊る姿を見ると、彼の師匠とも言える中居正広のイズムが受け継がれているようにも思えた。千賀は、一緒にツアーを回った後輩であるジャニーズJr.のユニット、Travis Japanの曲を振り付ける。かつて、中居が舞祭組をプロデュースしたときのことを連想させるような二人の動き。植えられた種はしっかりと芽吹いているのだと実感する。

 最終公演で歌うアンコール曲を決めるメンバー会議では、「曲を育てる」という言葉が飛び交う印象的なやりとりがあった。ファンが待ち望むおなじみの曲にすること、周年だからこそ歌われる特別な曲にすること……。Kis-My-Ft2は、長い長いJr.時代を経てデビューしたグループだ。ファンの後押しがあってこそ、デビューのチャンスを掴んだといっても過言ではない。だからこそ、より実感しているのかもしれない。曲も、ライブも、映像作品も、そしてKis-My-Ft2というアイドルグループそのものも、味わう喜びだけではなく、作り、育てる楽しみを。

 そして、それは7人だけではなく、彼らに関わるスタッフも、そしてファンにも通じるものがある。異なる立場から、Kis-My-Ft2という集合体を楽しんでいる。いつでも味方でいようと支え合っている。だからこそ彼らは、Kis-My-Ft2を「家族のようだ」というのだろう。ライブ本編のラストに語られたメンバーの挨拶は必見だ。ぜひ映像で確かめてほしい。彼らのまっすぐに見据える眼差しを。そして、「この規模に収まらないグループになりたいですね」。舞台裏で北山がサラリと語った新たな夢を。その夢を実現する瞬間はもちろん、それまでもプロセスを一緒に味わっていく。そんな楽しみ方ができるKis-My-Ft2は、やっぱりYummyなグループだ。

(文=佐藤結衣)

※記事初出時、一部表記に誤りがございました。訂正の上お詫びいたします。

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