BTS(防弾少年団)ツアードキュメンタリー映画が映し出した、グループにおけるステージの重要性

BTSツアードキュメンタリー映画評

 このドキュメンタリーの一つの山場が『BBMA』の受賞であることは間違いないが、もう一つの山場は日本ツアーと京セラドーム公演でもあるだろう。海外公演の合間の休息でもメンバーが特に日本語を勉強している(あるいは勉強しようとしている)様子は垣間見えるが、日本ツアー初日でメンバーとスタッフが語っていた、「これはコンサートだから真剣にやるべき。同じことを何回も日本で言ってると思う」「日本ツアーの前までは観客の注意を惹くために、よく笑ってじゃれている姿を見せることがいいというスタンスだったけど、(パフォーマンス自体をよりきちんと鑑賞してくれる観客が多い)日本では変えるべきだ」という言葉に集約されているだろう。日本での公演キャリアが長いグループらしく、その国ならではの観客特有のニーズについて真剣に考え、その都度パフォーマンスの傾向を変える、“公演ごとに全力投球”という彼らのやり方がもっともよく現れたパートのひとつだと言えよう。

 時にアクシデントや疲労、衝突、個々の考え方の違いなどに遭遇しながらも、その芯はブレずに全員が共有していることがよく伝わってくるドキュメンタリーである。そしてそれがファンにも伝わっているからこそ、彼らは国境や人種を超えて愛される理想郷のような存在になっているのではないだろうか。YouTubeバージョンの終盤ではメンバー達それぞれのこれからの目標が語られ、映画版ではプロデューサーのパン・シヒョク氏が「これからは皆それぞれ自分の幸せも見つけて欲しい」と語る。グループが自分たちの予想を超えた人気を得て周囲の環境が急速に変わっていく中でも、“これからも7人で一緒に、出来るだけ長く音楽をやっていきたい”という気持ちがひとつであることは間違いないようだ。

■DJ泡沫
ただの音楽好き。リアルDJではない。2014年から韓国の音楽やカルチャー関係の記事を紹介するブログを細々とやっています。
ブログ:「サンダーエイジ」
Twitter:@djutakata

■公開情報
『Burn the Stage : the Movie』
監督:パク・ジュンス
プロデューサー:ユン・ジウォン
出演:BTS(RM、SUGA、JIN、J-HOPE、JIMIN、V、JUNG KOOK)
制作:Big Hit Entertainment / CAMP Entertainment
日本配給:東宝映像事業部
公開日:2018年11月15日(木) 3週間限定公開
コピーライト:©2018 BIG HIT ENTERTAINMENT Co.Ltd., ALL RIGHTS RESERVED.

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