ChouChoが「オレンジ色」で表現した青春時代の情景「未来に寄せる希望がここに込められている」

ChouChoが表現した青春時代の情景

自然と温かくノスタルジックな気持ちになる

ーーそんなChouChoさんが歌う「オレンジ色」は、藤井万利子さんの作詞作曲によるミディアムバラードで、実に胸に響く楽曲。最初に聴いた時は、どんな印象を持ちましたか?

ChouCho:小説に出てくる試合の場面ではなく、友情物語の部分にフォーカスした、温かい曲だなと思ったのが第一印象です。「この曲に自分の声が重なったら、どんな曲になるんだろう?」と想像して、ワクワクしました。

ーー歌う部分で、意識したところや大変だったところはありましたか?

ChouCho:最初に、キー設定をどうしようか迷いました。この曲は、サビがそんなに高くなくて、逆にAメロが高いという、ちょっと変わったメロディーになっていて。キー設定を間違えると、サビが埋もれてしまうので、時間をかけました。私の声がいちばん響いて、聴いた人が心地良く、そして『ツルネ』という作品にとっていちばん合うキーはどれなのか。高いキーで歌ってみたり、低いキーでも歌ってみたり、何パターンも実際に歌って聴き比べて決めていきました。

ーーChouChoさんの歌い方は、今までにないほどシンプルなものですが、それはどういった意図があったのですか?

ChouCho:曲自体がシンプルで美しいので、歌い上げるよりも素朴さを大事にするほうが、この曲の魅力を引き出せるんじゃないかと思いました。それで、上手く歌うよりも言葉をしっかり聴かせることを意識して歌っています。これまでこういう歌い方をした経験がなかったので、そこは新しい歌い方を見つけた感じがありました。

ーー歌詞を聴かせるというイメージでしょうか。

ChouCho:そうですね。言葉を詠むというか……情景描写が美しいので、その言葉をしっかり届けたいと思いました。童謡に近い懐かしさも感じたので、自然にノスタルジックな気持ちにもなりましたね。

ーー最後はファルセットのフェイクで歌い上げて終わっていて、そういう感じは、今までのChouChoさんの曲にはなかったものだったので新鮮でした。

ChouCho:私も新鮮でした(笑)。このフェイクは、作曲者の藤井さんから入れてほしいと提案があって挑戦したんです。余韻というか、曲が終わってパツッと切れるよりも、温かい情景を残していくようなイメージです。曲の持つ温かさがほんのりと残るような感覚で、ファルセットで歌ったことで、自分自身でも余韻や広がりを感じました。

ーーまた、Dメロからオチサビにかけては、エモーションが溢れる感じです。青春時代を思い出していたら、Dメロあたりで感極まって涙がこぼれてしまったような雰囲気かなと思いました。

ChouCho:そんな風に想像を広げて聴いてくれるのは、すごく嬉しいです。Dメロは他とはメロディが違いますし、歌詞も切なくなっていて、ここには言葉にならない想いが込められています。青春時代というのは、子どもでも大人でもない時期で、その中で悩みや葛藤があって。そういう青春時代のもやもやとしたものが、このDメロで表現されているのかなって私は思いました。

ーーそのDメロの最後に〈いつか届け〉というフレーズが出てきますが、ここにはどんな想いが込められていますか?

ChouCho:高校生の時は、未来は輝いて見えて、夢がいっぱい溢れているものです。そういう未来に寄せる希望が、ここに込められていると思います。〈いつか〉と言いつつも、必ず届くと信じていることも伝わります。

ーータイトルにあるオレンジという色は、つまり青春の色でもある。ジャケットのイラストが、まさしくそういうイメージなんでしょうね。

ChouCho:そうですね。私自身学生時代は、まさにこのイラストのような夕陽の風景を部活帰りに観ながら、毎日帰宅していたんです。だからジャケットを見た時は、すごく懐かしいなって思いました。イラストには手前に階段が描いてあるんですけど、私の帰り道にもこういう階段があって、友だちと階段に座っていろんなことを話していたなって、思い出されますね。

ーーどういう話をしていたんですか?

ChouCho:部活の話や恋愛の話、学校のことなど。将来の話もしました。私はその頃から歌手になりたいと思っていたので、夢を友だちに打ち明けたりとか。その時の弓道部でいちばん仲の良かった友だちは、2人とも就職して東京に住んでいて、たまに連絡を取って会っています。

ーーMVは、ChouChoさんが学校で歌ってるシーンと、少年3人の思い出のシーンで構成されていて、ノスタルジックな気持ちになる映像ですね。

ChouCho:成田にある、廃校になった小学校をお借りして撮影しました。大人になると学校に行く機会がないので、校舎に入っただけで懐かしい気持ちでいっぱいになりました。机や椅子がとても小さくて、可愛らしくて。全部が懐かしくて、そこにいるだけで、自然とノスタルジックで温かい気持ちになることができました。そんな自然な表情を、ぜひ観ていただけたらうれしいです。

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