odol ミゾベ&森山が語る、バンドの“ムードと変化”「新しい扉が開きそうな予感がある」

odolが語る、バンドの“ムードと変化”

ミゾベリョウ「歌詞は意味よりもメロディにハマったときの気持ちよさ」

ーーミゾベさんは歌詞を書くにあたって、そういうイメージは共有していましたか?

ミゾベ:そうですね。僕はそのときクラブに行っていないので、事細かに話を聞いて書きました。ただ、それは自分の体験じゃないし、僕は森山が作った音楽に対して、歌うのは僕だから、自分なりの答えを見せないといけないとも思っていて。歌詞の内容に関しては、意味よりもメロディにハマったときの気持ちよさを意識して作っていきました。

ーー「four eyes」には〈またもうひとつ歳をとった〉というフレーズがありますよね。「大人になって」という曲も、まさにタイトル通り“大人になる”ということがモチーフになっている。これは“往来”というキーワードのもう一つの意味につながるところだと思います。過去、現在、未来と時間軸を行き来している言葉が多い印象ですが、なぜなのでしょうか?

ミゾベ:おそらく前作まで、時間軸としては過去を向いていることがほとんどでした。過去に起こったことをいまの自分がどう思っているか、過去の自分の感情を思い出したり、過去を見ているがゆえに無理やり前を見たりして書いた曲が大半を占めていて。でも今回は自分たちの置かれている状況として、前を向いていないといま目の前にある未来が、一瞬で過去になっていくような、そんなタイム感でした。後ろを向いている暇は全くなかった。だから、前を向いていたり、現在の自分の感情を見ていたりするような曲も混在しているのかなと思います。

20181025-odol-sb6
20181025-odol-sb7
20181025-odol-sb4
20181025-odol-sb3
20181025-odol-sb2
20181025-odol-sb20
20181025-odol-sb19
20181025-odol-sb13
20181025-odol-sb11
20181025-odol-sb12
20181025-odol-sb18
20181025-odol-sb17
20181025-odol-sb14
previous arrow
next arrow
20181025-odol-sb6
20181025-odol-sb7
20181025-odol-sb4
20181025-odol-sb3
20181025-odol-sb2
20181025-odol-sb20
20181025-odol-sb19
20181025-odol-sb13
20181025-odol-sb11
20181025-odol-sb12
20181025-odol-sb18
20181025-odol-sb17
20181025-odol-sb14
previous arrow
next arrow

ーーアルバムの中でも最も印象的なのが、リード曲になっている1曲目「光の中へ」でした。これはまさに変わっていくことを肯定的に捉えている曲だと思うのですが、森山さんとしては、この曲が出来たときに何か新しい扉を開けたような感覚はありましたか?

森山:ありましたね。作ってる途中で「これはやっとリード曲ができたな」って思ったくらい自信作です。完成したときも、やっぱりすごい曲ができたなと。最初にあったのは、最後の大サビのメロディだけだったのですが、当初は別の曲にそのメロディがついていました。その曲をいくらアレンジしても納得いかなかったので、一旦なしにして、そのメロディの魅力を最大限に生かす曲を作り直すことにして、「光の中へ」が完成したんです。サウンドの印象もかなりポジティブにできたので、満足感がありました。前作『視線』のリード曲「GREEN」が冷たい雰囲気を持つ楽曲だったので、それをお互い否定せずに引っ張り合えるものが出来て良かったです。

ーーなるほど。マーチングバンドのリズムというのは、どういうアイデアから?

森山:これは、ギターの井上(拓哉)がきっかけですね。井上は中学校の頃に、全国優勝したマーチング部に所属していたんですよ。

ミゾベ:中学校がたまたま強豪校だったらしいんですけど、そこでスネアを叩いていて、部長も務めていたようです。

森山:「光の中へ」を作ってる最中に、マーチング部のことを思い出して。ちょうどそのとき井上と一緒にいたので、「何かいい曲教えてよ」って言ったら、何曲か聴かせてくれたり練習曲の譜面を見せてくれたりしました。それで試しに制作途中の「光の中へ」に、マーチングバンドのリズムを打ち込んでみたら、めちゃくちゃ合うなと。そこから広げていった感じです。

ーー「光の中へ」はすごくポップな曲ですが、Aメロ、Bメロ、サビという構造ではなく、同じフレーズをループしながら徐々に上昇していくタイプの曲ですよね。なぜ、そういうものがアルバムのリード曲として必要だったのでしょうか?

森山:音楽で演出したくないという気持ちが僕らの中にあるので、「光の中へ」は僕ららしいポップスだと思うんですよ。派手に何かが始まったり、ドラマチックな展開をすることって、人生の中でほとんどないような気がしていて。実際に僕らの毎日は、グラデーションのようにゆっくり変わっていっています。odolの表現の始まりは、自分たちの体験や内側にあるものから持ってくることが多いので、脚色するのではなく、その瞬間のテンションで作っていくんです。「光の中へ」を制作している当時をいま振り返ると、僕らのなかでは、ぼんやりと綺麗な景色や未来が見えていて、それをそのまま表現したため、徐々に上昇していくタイプの曲になったのかなと思います。

ミゾベ:「光の中へ」の歌詞では、自分が変化していったり、前に進んでいけたりすることを肯定して、生きることそのものを歌っています。

odol「光の中へ」Official MV

ーーEP『視線』のリード曲だった「GREEN」が、4曲目に入っていますよね。これもすごくハマりがいいと思うんです。「光の中へ」から「GREEN」までの前半4曲には、テンション高く張り詰めたまま進んでいく感じがある。それも含めて「GREEN」という曲は『視線』を作った時とはまた違った位置付けになっていると思うんですが、どうでしょう?

森山:『視線』の中の「GREEN」は“答え”で、『往来するもの』の「GREEN」は“出発点”というイメージです。『視線』の制作期間は、「GREEN」を作るためにいろんなことを考えたり、言語化してケリをつけたりしてきました。それがあったからこそ『往来するもの』に進んで行けた。「GREEN」を作れていなかったら、『往来するもの』の曲たちは作れていなかったと思います。そういう意味でゴールとスタートじゃないけど、真逆の立ち位置ではあるかなと。

ーーこのアルバムの前半と後半は、雰囲気が少し違いますよね。後半の「人の海で」や「発熱」は、より孤独で閉じているイメージです。こういう曲も、odolにとっては自然に生まれるものなんでしょうか。

森山:まさにそうですね。どっちもバンド内に同時に存在している空気感です。それこそ陰と陽の2つが別々にあるわけではなくて、その間のムードがグラデーションのように徐々に変わっていく感じです。前半と後半でわかれているのは、意識的にしたわけではなく、僕らなりに気持ちのいい曲順にしたら、自ずとこの並びになりました。

ーーラストの9曲目には「声」という曲が入っていますが、アルバムの中で、どのような位置付けになっていると思いますか?

ミゾベ:『視線』を作ったあと、最初に出来た曲が「声」だったんです。充足感のなか、自然にできた曲でした。早い段階から録り終わってもいたのですが発表せずに、次に出来た「時間と距離と僕らの旅」と「大人になって」という曲からリリースしていきました。温めていた「声」という曲が、最後にあることで、アルバムを通して聴いたときに締まるという感じを受けましたね。

森山:この曲は「シックス」という仮タイトルがあったのですが、まさに6人で同時に作っていたんですよ。普段の基本的な曲の作り方としては、僕が最初に大まかな各パートのアレンジも含めたデモを作って、そこからみんなで触っていくんですけど、「声」では最初にあったのはピアノのループぐらいで、そこから一つひとつのパーツを6人がみんなで一つのPCに向かって組み上げていきました。そういう意味で、「声」には6人の間にある共通項みたいなものが詰まっていて。みんなが気持ちいいよねってなる音やテンション感が入っていて、。『視線』を作り終えたあとの6人のムードが、そのまま曲になっています。自分の曲という感じがあまりなく、odolというバンドの曲だなという印象が強くありますね。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる