04 Limited Sazabys『SOIL』は新たな一歩示す作品に 発想の豊かさ感じる最新作を聞く

 とはいえ、そんなロック人気の高さを「ヒップホップやEDMが席巻するグローバルなシーンから乖離している」と感じる人も少なくないだろう。日本の新世代のロックバンドが世界に対してどのような展望を抱いているかが気になるところだが、先述した「Galapagos」でまさしくガラパゴス化するJ-POPの“過圧縮”な構成を取り入れ、歌詞にも日本社会のいびつさをほのめかすフレーズを放り込んだフォーリミには、日本のシーンなるもの、あるいはJ-POPを俯瞰して眺めるかのような批評精神も感じられる。

 フォーリミは、2016年より地元の愛知県にて大型野外フェス『YON FES』を開催するなど、同時代のシーンへの貢献もしてきた。『SOIL』はそんな彼らの新たな一歩を感じさせる一枚だ。ボーカルのGENは、今冬リリースのあっこゴリラ『GRRRLISM』に参加予定で、向井太一やTempalayといったシンガーやバンドに名前を連ね、ジャンル横断的な動きを見せている。リスナーの心を鷲掴みにするポップセンスを武器に、メインストリームとオルタナティブをつなぐ存在となるだろうか。

■imdkm
ブロガー。1989年生まれ。山形の片隅で音楽について調べたり考えたりするのを趣味とする。
ブログ「ただの風邪。」

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「チャート一刀両断!」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる