ホットスタッフ 横山和司副社長が語る、コンサートビジネスの本質「変化の中で独自のものを作る」

ホットスタッフ40周年イベントインタビュー

自分で興味がなかったらできない仕事

ーー横山さんご自身についてもお話を聞きたいのですが、ホットスタッフにはどのような経緯で入社されたのでしょうか。

横山:高校生の時に音楽が好きになって、楽器をやったりとか、ライブを観にいったりとか、秋葉原のラオックスにアナログ盤を買いにいったりしていました。周りにも音楽が好きな友達がいて、その友達に誘われて初めて観に行ったコンサートがユーミン(松任谷由実)だったんですよね。1980年に行われた『BROWN’S HOTEL』というツアーだったんですけど、そのコンサートがもうド派手で。まさかその何年後かに仕事をすることになるとは思っていませんでした。その影響もあって、コンサートを手がける仕事に興味をもったんですけど、当時はイベントの警備みたいなアルバイトしかなくて。その中でホットスタッフのアルバイト募集が求人誌に載っていて、連絡して説明会を受けにいったというのがきっかけでしたね。それで登録をするとその日の夜に電話がかかってきて、明日渋谷にチラシを配りに行ってくれないかと言われて。一番始めのアルバイトとしての仕事は、コンサートの会場でチラシを撒く仕事でした。ホットスタッフは関東近郊のコンサートを担当していたので、前橋や宇都宮、山梨などにも毎日のように仕事で行くようになってそのまま大学卒業のタイミングで誘われて入社しました。

ーーそこからいろいろなアーティストとの出会いが。

横山:でもそこからは実はコンサートの仕事をしてないんです。ツアーパンフレットってあるじゃないですか。その編集アシスタントのような役割で文字校正をよくやっていました。多分入社して3年くらいはその仕事で、何がきっかけだったか覚えてないんですけど、東京ドームとか横浜アリーナができた時に制作側にシフトしたんですよ。そこからは自分で新人のアーティストを探さないと、黙ってたら何もできなくなっちゃうなと思って、やたらとライブを観に行くようになりました。

ーーそこで注目して仕事するようになったアーティストは?

横山:DREAMS COME TRUEですね。初めて観た時から吉田(美和)さんは抜群に歌がうまかったです。ドリカムは一気に大スターになった印象ですけど、最初は渋谷のTAKE OFF 7というライブハウスでやっていて、そのあとがクアトロ(渋谷CLUB QUATTRO)、渋谷公会堂、NHKホールとキャパを広げていきました。4枚目のアルバムの『MILLION KISSES』(1991年)のツアーでホールツアーをやって、次のアルバム『The Swinging Star』(1992年)のツアーでは、アリーナツアーに拡大して、その時は現場に関わっていました。

ーーその後これまでのキャリアの中で出会った印象的なアーティストは?

横山:僕が入社して5年目くらいの時に担当したアーティストですが、東京パフォーマンスドールですね。原宿RUIDOで30日連続公演をやってるアイドルなんていなかったので珍しいと思って、毎日のようにRUIDOに行っては、コンサートを担当させてほしいと言いに行っていました。そのうち「お前しつこいなー。分かった、一緒にやろう!」という話になってやることになって(笑)。ホットスタッフはロックバンドのイメージがあると思いますけど、僕はいろんなアーティストを観たり、聴いたりしていたので、ロックバンドに偏ってる意識はなかったかもしれないですね。

 それからJUDY AND MARYというバンドに出会うことになります。僕はレコード会社の人にも「いいアーティストはいませんか?」ってよく聞いていて、「来月横浜のライブハウスで新人バンドのライブをやるので観に来ない?」って言われたのがきっかけで観に行ったんですよ。デビューする10カ月くらい前、1993年がデビューだから1992年かな。対バンイベントだったんですけど、観に行ったらお客さんが5人くらいしかいなくて。でもメンバー4人とも個性が強くて印象的で、特にボーカルのYUKIさんは、ものすごく目力が強かった。もう何十年も一緒にお仕事をしていますけど、今もいい意味で緊張した現場ですね。

ーー横山さんのキャリアの中で、変わらず大切にしていることは?

横山:やっぱり探究心をなくさないことです。エンターテインメントの仕事は自分で興味がなかったらできない仕事だと思うんですよ。好きでやってるものなので。それがなくなっちゃったら終わりだと思う。自分で見つけるという意識を常に持ってないとダメなんじゃないかなと思います。

ーー一方で、音楽業界の変化とともにコンサートビジネスの変化をどう捉えて、現場に活かしているでしょうか?

横山:変化の中で独自のものを作るということは変わらないと思います。今レコード会社もラジオ局もイベントをやりますし、テレビ局もイベントを手がけています。今までは僕らしかやっていなかったものが、多様化して、いろんな人たち、いろんなジャンルの人たちがイベントを作るようになってきています。その中で僕らが初志貫徹しなきゃいけないことは、やっぱりオリジナルなもの、僕らでしかできないものを作り続けていくということ。それはうちのスタッフにはいつも言ってることです。

ーーそうすると今回の『Hot Stuff Promotion 40th Anniversary MASAKA』はまさに初志の部分と言えますね。

横山:そうですね。ライブだけではなくて、グッズも含めていろいろなことを面白いと感じて自分たちでやっていきたいです。今回のイベントもそれぞれのアーティストで対バンするからには何かしらの接点みたいなものがあってほしいと思っていますので、楽しみにしていてください。

(取材=神谷弘一/構成=高木智史/撮影=堀内彩香)

■イベント概要
『Hot Stuff Promotion 40th Anniversary MASAKA』
日程:10月26日(金)、27日(土)、28日(日)
会場:日本武道館

各日程詳細:
『Mutation of POP』
10月26日(金)
開場17:30/開演18:30
出演:きゃりーぱみゅぱみゅ、けやき坂46
料金:指定席¥7,020(税込)
※4歳以上チケット必要

『Ultra Boy Meets Super Girl』
10月27日(土)
開場17:00/開演18:00
出演:岡村靖幸、YUKI
料金:指定席¥9,180(税込)
※未就学児童入場不可

『Chaos Rocks』
10月28日(日)
開場15:00/開演16:00
出演:東京スカパラダイスオーケストラ、THE BACK HORN、ポルカドットスティングレイ、King Gnu ※タイムテーブル公開
料金:指定席¥4,320(税込)
※4歳以上チケット必要

チケット一般発売中:
チケットぴあ
ローソンチケット
イープラス
楽天チケット(10/28公演のみ取扱い)

・イベントコラボTシャツ
各公演ごとにデザインが異なる、この日限りの限定Tシャツ
デザイン、販売に関する詳細はこちら

・ムック本『40th Anniversary MAGAZINE HOT STUFF History』
ホットスタッフ40周年を記念して、マガジンハウスよりムック本『40th Anniversary MAGAZINE HOT STUFF History』(1978-2018 / 40年間のライブの記録)が発売。
1978年の設立時から2018年までの40年間のライブ記録を日本の音楽史とともに振り返るムック本。

タイトル: 『40th Anniversary MAGAZINE HOT STUFF History』(1978-2018 / 40年間のライブの記録)
発行元:(株)マガジンハウス
発行日:2018年10月25日(木)
本体価格:1500円(税込)
販売箇所:全国の書店アマゾンなど
※当日、会場でも販売

40周年イベントオフィシャルサイト

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