ケンドリック・ラマー『おはよう日本』登場、“表現の自由”語る「感情を出すことを恐れてはいけない」

 ケンドリック・ラマーが、ニュース番組『おはよう日本』(NHK総合)の8月29日放送回に出演した。日本の地上波番組でインタビューを受けるのは、今回が初めてとのこと。同インタビューは、7月に開催した『FUJI ROCK FESTIVAL』の来日時に行われた。(参考

ケンドリック・ラマー『Damn』

 ケンドリックは、楽曲で聴かせる激情的なラップとは対照的に、落ち着いた雰囲気でインタビューに答える。彼はヒップホップについて“表現の自由”そのものであるとし、「他人に対してなかなか言い出せないことが、音楽の力を借りて言葉となり口から出てくるんです」とゆっくり話し始めた。“全米で最も危険な場所”と呼ばれるカリフォルニア州のコンプトン地区で育ったケンドリック。友人が銃撃されるなどの酷い出来事が日常的に起こってきた。彼はラップを始めた当時について「僕たちは自分たちでは手に負えない環境で育った。ヒップホップは僕にそうした感情を表現するチャンスをくれた。他人がどう思うかは関係なく、吐き出さなければいけない感情だったんです」と振り返った。

 ケンドリックは、差別や暴力が絶えない環境に対しての怒りや悲しみを曲にしながら、現代を生きる人々に寄り添っている。彼は自身の音楽活動について「僕の作品や音楽で学んできたことは、僕自身のためだけではなく、逃げ場のない街に育った子どものためだったんです」と話した。パフォーマンスを通して現代批評をする彼の目線は、子どもたちの未来に向けられているのだろう。また、「肌の色や民族の異なる多くの人が、ライブに来ること」が究極の目標であるとし、「2時間のステージに存在するのは争いではなく“愛と幸福感”だけなんです」と優しく語りかけた。『FUJI ROCK FESTIVAL』で彼のライブを観た多くの人が、励まされ心打たれていた。誰かと争うのではなく人々の平和や幸福を切に願うとする彼の姿勢こそが、世界中の人々を惹きつけている理由なのだろう。

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