チャーリー・プース、来日追加公演も即完売! ポップスターに上り詰めた要因を追う

チャーリー・プース人気の要因は?

 また、グローバルプッシュになったエッジのある1曲目「The Way I Am」では、〈僕を嫌おうが好もうがかまわない。これが僕のあり方なんだから〉〈ああ、僕は少し不安定なんだ〉と本心を曝け出したりも。このように「いやらしいのも情けないのも僕であって、そういう本当の僕を見てほしい」といった曝け出し表現の仕方がまずは女性たちを悩ましい気分にさせたり悶えさせたりしたわけだが、しかしそっちばかりじゃなく、彼はいかに誠実かつ高品質なポップスやソフトロックの曲を書けるかということにも力を尽くしていた。例えばBoyz Ⅱ Menを迎えたア・カペラの「If You Leave Me Now」。不良性をある種の色気とするタイプのボーカルグループではなく品行方正なBoyz Ⅱ Menを迎え、しかもいかにも彼らに似合いそうなスロー曲で彼らと堂々張り合える歌を聴かせたあたり、これはこれでソングライティング力とボーカル&ハーモニー力の力強いアピールであっただろう。また、大ベテランシンガーソングライターのジェイムス・テイラーをフィーチャーした「Change」はアコースティックギターの音色も耳に優しいフォーキーバラードで、ここには“ベイビーフェイスのような行き方だってできるのだ”というソングライターとしての自負とその確かさを感じ取ることができた。ほかにDaryl Hall & John Oatesの「I Can’t Go For That(No Can Do)」を引用した「Slow It Down」のようなポップ曲もあったが、そのように70年代、80年代、90年代に華々しく活躍した偉大な音楽家たちへの敬意を表したりするところなどは、40代以上の音楽好きたちをも唸らせた。先の「Done For Me」といったR&B曲を聴いて「エロい裏声のチャーリーがたまらない」などとうっとりしている10代や20代の娘たちに初めは厳しい目を向けながら、しかし「どらどら」と聴いてみて「なかなか曲がいいじゃないか。このジェイムス・テイラーという人はな……」と説明を始めたりする父親の姿も想像できるというものだ。

 ちなみにこの2ndアルバムはほぼ全てのプログラミングと演奏を自身で行なって構築し、前作よりもさらにセルフプロデュースの度合を強めたもの。つまりどういうサウンドを施し、セクシーさと誠実さの塩梅はどのぐらいにすべきか、そのへんのバランスをしっかり計算しながら「今この年齢のオレ」を見せているわけで、チャーリー・プース、やはりポップスターになるべくしてなった男であるなと唸らされる。11月の公演はどんな見せ方をするのか、今から楽しみでしょうがない。

Charlie Puth - The Way I Am [Official Video]

(文=内本順一)

■リリース情報
『Voicenotes』
発売:2018年5月11日(金)
価格:¥2,200(税抜)
M-1
The Way I Am / ザ・ウェイ・アイ・アム
M-2
Attention / アテンション
M-3
LA Girls / LA・ガールズ
M-4
How Long / ハウ・ロング
M-5
Done For Me(feat.Kehlani) / ダン・フォー・ミー(feat. ケラーニ)
M-6
Patient / ペイシェント
M-7
If You Leave Me Now(feat. Boyz II Men) / イフ・ユー・リーヴ・ミー・ナウ(feat.ボーイズⅡメン)
M-8
Boy / ボーイ
M-9
Slow It Down / スロウ・イット・ダウン
M-10
Change(feat. James Taylor) / チェンジ(feat. ジェイムス・テイラー)
M-11
Somebody Told Me / サムバディ・トールド・ミー
M-12
Empty Cups / エンプティ・カップス
M-13
Through It All / スルー・イット・オール

■ライブ情報
『VOICENOTES JAPAN TOUR 2018』※ソールドアウト
11月19日(月)
大阪 エディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館)
11月21日(水)
千葉 幕張メッセイベントホール

追加公演
11月22日(木) 東京国際フォーラムホールA

オフィシャルサイト

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