フレンズが語る、“ポップバンド”として踏み出した新たな一歩 「0才から100才まで聴いてほしい」

フレンズ、ポップバンドとしての進化

「音楽番組の常連になりたい」(ひろせひろせ)

フレンズ「常夏ヴァカンス」

ーー楽曲もそれぞれキャラが立ってますよね。まず1曲目の「常夏ヴァカンス」は、サウンドがハロプロ的というか……。

おかもと:お、すごい。

ひろせ:「常夏ヴァカンス」は大久保薫さんというアレンジャーさんに入ってもらってるんですけど、まさにハロプロの楽曲を手がけてきた方で。自分が他のアーティストに楽曲を提供するときは、アレンジャーさんにお願いすることが多いんですけど、「餅屋は餅屋だな」とすごく感じて。これからフレンズが大きくなっていくときに、俺ら5人だけではなくて、(アレンジャーなど)誰かの力を借りなくちゃいけないタイミングがあるだろうなと思ってたんですよ。「常夏ヴァカンス」はえみそん(おかもと)の曲なんですが、デモを聴いたときに全員一致で「これ、アルバムのリード曲でしょ」ということになって。だったら大久保さんにアレンジをお願いするのが一番いいんじゃないかなと。

おかもと:上がってきたアレンジを聴いたときに「これこれ!」ってドンピシャだったんですよ。曲を作ったときからラテンのテイストを入れたかったんですよね。西野カナさんの「Esperanza」、EXILEの「Ti Amo」のような感じで、ラテンの雰囲気を活かした曲にしたかったので。

ひろせ:大久保さんとは「フェスで戦える曲にしたいんです」という話もさせてもらって。でっかい会場で鳴らせる楽曲にしたかったし、大久保さんも「フレンズの良さを活かして、大きい会場で映える曲にするためにはベースが大事だよね」と言っていて。ベースだけじゃなくて(大久保にアレンジを依頼したことで)メンバーそれぞれにテーマとか課題が見つかったんですよね。それもいい方向に進んだ理由だと思います。

長島:ひろせがアレンジするときは、ベースに余白を残してくれるんですよ。好きなように変えさせてもらっているし、自分のセンスを活かしながら、曲に合うように落とし込むことを毎回考えているんですけど、「常夏ヴァカンス」に関しては、いままで弾いてなかった感じのベースラインが入っていて。そのフレーズをいったん覚えて、さらに自分らしいところを入れ込むっていう。大変だったけど、すごく勉強になったし、楽しかったんですよね。

ーー結果的にポップスの要素が強い楽曲になってますよね。

ひろせ そうなんですよ。俺らと大久保さんでは使ってる脳が違うというか(笑)。でも、そこを通らなくちゃいけなかったんですよね。俺らは音楽番組の常連になりたいし、もっと売れてたくさんの人に知ってもらうためには、捨てたほうがいいプライドと守らないといけないプライドがあると思っていて。「この曲のアレンジは自分にはできないから、大久保さんに頼もう」と言えたのは良かったですね。

ーー「守らなくてはいけないプライド」というのは?

ひろせ:「打ち込みでもいい」ではなくて、ドラム、ベース、ギターのプレイは活かしているし、この曲のアレンジに対してメンバーそれぞれが戦って、自分たちのモノにしたということですね。それができることがめっちゃ嬉しいんですよ、自分は。

おかもと:「常夏ヴァカンス」は対バンツアー(2018年6月に行われた『フレンド申請ツアー』)で初披露したんですが、しょっぱなから盛り上がって。メンバーみんながイケメンになれる曲なんですよ(笑)。

ーー長島さんが作曲した「fisherman」もいいアクセントになっていると思います。タイトル通り、釣りの曲ですね。

長島:クレジット(作曲:長島フィッシャー涼平)を見るたびに恥ずかしくなるんですけどね(笑)。僕が曲の母体となるトラックを作って、それをひろせに揉んでもらって。そしたら「釣りの曲になりました」って(笑)。そんなつもりはなかったんですけどね、こっちは。しかも「涼平さん、LOUIEさん、太郎さんの年長組で歌詞を書いてください」って言われ。

SEKIGUCHI:涼平くんはもともと釣りが好きで、僕とか太郎くんを何度か誘ってくれたんですよ。そのときに釣りの楽しさを感じていたので、歌詞を書くときもイメージしやすくて。

太郎:そうだよね。

長島:「こんなに釣り用語を知ってるんだ?」って思いました(笑)。無理矢理釣りに連れていったのもムダじゃなかったなと。

ひろせ:(笑)。僕としては涼平さんが曲を作ったことの意味合いをしっかり出したかったんですよね。えみそんがひとりで歌ってる「シルエット」があって、太郎さんが主役の「元気D.C.T〜憧れのマチュピチュ〜」があるなか、涼平さんが主役の曲があってもいいよなと。最初にも言いましたけど、5人のメンバーが想像できるアルバムを作りたかったので。あと意外性のある曲、つまり、ワクワクできる曲にしたいという気持ちもあって。「楽しそう」というのもフレンズのテーマですからね。

長島:うん。最初はどうなるかと思ったけど(笑)、結果的にアルバムのなかでいい立ち位置の曲になったし、気に入ってますね。

ーーいま話に出た「シルエット」も素晴らしいですね。おかもとさんの歌の力がしっかりと感じられて。

おかもと:嬉しいです。この曲は私がソロ(シンガーソングライター)として作った曲なんですが、ひろせが「すごくいい」と言ってくれて、「歌、ピアノ、弦のアレンジでやろう」ということになって、河野圭さんにアレンジをお願いしたんです。河野さんのことはひろせも以前から知っていたし、私も他の現場でご一緒して、ピアノのアレンジが素晴らしいなと思っていたので。

ひろせ:back numberのスタジオアコースティックライブ(4thアルバム『ラブストーリー』の初回盤特典DVDに収録された「sympathy」「風の強い日」のスタジオライブ映像)のアレンジを河野さんが担当されていたんですが、それが素晴らしくて。「シルエット」のレコーディングにも、そのときのメンバーを集めていただいたんです。生のストリングスは初めてだったんですけど、すごかったですね。

おかもと:うん。歌は河野さんのピアノと一緒に録ったんですけど、ライブみたいな感じだったし、テイクもほぼ直さず、そのまま使ってるんです。生の感じが出ていて、いい仕上がりになりました。

ひろせ:バンドがストリングスを取り入れると「メジャーかよ!」って抵抗感を示す人もいるみたいですけど、僕らはぜんぜんそんなことなくて。最初からシンセやストリングスの音はガンガン使ってたし、今回も、えみそんの歌がいちばん良く聴こえる構成を考えた結果、こういうアレンジになったんですよね。

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