リトグリ、CKB、赤西仁、ミセス、家入レオ……あえて真夏に浴びたいソウルフルなボーカル

Mrs. GREEN APPLE『青と夏』(通常盤)

 華やかな解放感を感じさせるギターフレーズ、大らかなグルーヴを生み出すリズムセクション、そして、夏という季節に対する思いを映し出すボーカルライン。3rdアルバム『ENSEMBLE』がオリコン3位を記録、9月の幕張メッセ公演をソールドアウトさせるなど、名実ともにブレイクしつつあるMrs. GREEN APPLEのニューシングル『青と夏』は、このバンドの原点とも言える、ポップに振り切ったサマーチューン。楽しい季節はいつか終わるという寂しさを抱えながら〈夏が始まった/君はどうだ/素直になれる勇気はあるか〉という高らかに歌い上げる大森元貴(Vo/Gt)のボーカルがもたらす説得力こそが、この楽曲のキモ。リアルな思いが中心にあるからこそ、Mrs. GREEN APPLEのポップソングはこんなにも切実に響くのだと思う。

Mrs. GREEN APPLE「青と夏」MV(Short Ver.)

家入レオ『もし君を許せたら』(通常盤)

 大原櫻子・藤原さくらとのコラボ楽曲「恋のはじまり」の配信リリース、さらに女優デビュー、朗読劇の舞台出演など活動のフィールドを大きく広げている家入レオの14thシングル『もし君を許せたら』は、ラテンのテイストを加味したノスタルジックな旋律が心に残るミディアムチューン。作詞は杉山勝彦、作曲はJazzin’Parkの久保田真悟・栗原暁。家入はシンガーに徹しているわけだが、悲しみと憂いを含んだメロディ、〈もし君を 許せたら/また誰かを 愛せるかな?〉という切実な思いを込めた歌詞を彼女は、決して大仰にならず、感情の発露をギリギリのラインで抑えながら見事に表現している。昨年デビュー5周年を迎え、23才になった彼女はいま、大人の音楽ファンに訴求できるシンガーへと成長しつつあるようだ。

家入レオ「もし君を許せたら」MV

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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