GOMES THE HITMAN 山田稔明が明かす、結成25年の歴史と再始動に至った背景

山田稔明が明かす、完全復活までの軌跡

「『ripple』はめちゃめちゃなものを作ったはずだった」

ーー今回のボーナストラックで思い出深いものがあれば教えてください。

山田:「サテライト」のアーリーデモがすごくいいんですよ。僕の友達は「このバージョンでCDに入れてたら絶対売れてたのに」って(笑)。でも、僕は簡単に盛りあがって済ませちゃうのができなかったんですよね。

ーー『ripple』は不思議なアルバムですよね。そういうこだわりもあるのに、CMソングやアニメ主題歌も入っていて。

山田:そうなんですよね。妙に整合性が取れてるというか。自分はめちゃめちゃなものを作ったはずだったのに、第三者の人からいろんな冠を付けてもらった感じはします。

ーー今回のボーナストラックのチョイスには悩みましたか?

山田:ものすごくいろんなものがあったんですけど、この3枚の本筋から外れるものは入れないって決めてました。今のファンの子たちは「『mono』が全然手に入らないんです」っていう人たちばっかりだし、『mono』を出した当時のインストア特典の音源は誰も聴いたことがないのでボーナストラックに加えました。『omni』のボーナストラックに関しては、アウトテイクを聴いたときに「ああ、やっぱり『omni』ってすごくポップスを作ろうとしてたんだな」って思ったので、それが一番よく表れている「fielder's choice」っていう曲を入れました。

――インディペンデントなソロ活動を続けてきた山田稔明さんの目には、かつてのGOMES THE HITMANはどう映っているのでしょうか?

山田:その時代はそんなにたくさんスタッフがいたわけじゃないんですけど、本当にありがたかったなって思います。今自分でレーベルをしてると、売れる枚数ってそんなに変わらないのに、すごくたくさんの人が宣伝してくれたり、営業してくれたりしていたんだなと思います。ソロをやるようになって、今までお世話になったレーベルのことをひとつも悪く思わなくなりましたね。ありがたいなって思うし。逆に、新しいものを作るときにメジャーのメーカーと一緒にやるっていうのは想像がつかなくなったんです。自分のやり方や方法論も明確になってきて。今回こういうリイシューをかつて所属したレーベルのスタッフと一緒にやるのは本当に幸せなことだし恵まれてるなと思う一方で、これが新譜じゃないからこそできるんだなって思うんです。

――逆にデビュー当時「ポスト・フリッパーズ」と呼ばれていた頃はどう考えていたでしょうか?

山田:そういう系譜の中で語られることが嬉しいなと思ってたのは、メンバーの中でたぶん僕だけだと思います。でも結局、途中から「フリッパーズ」みたいなキーワードで簡単に言われるのがあまり心地良くなくなってきて。2000年代はネオアコやギターポップとは全然違うところまで来たので、90年代にやってたこととは差がありますね。90年代に作ってたものは、意外とセルフパロディというか、わかりやすくキラキラする音楽を作ろうとしてたのかもしれないです。そういうものを求められていたこともわかってたし。

 でも、そこから20年経ってみると、やっぱり1stアルバムや杉さんと一緒に作ったアルバムは、今でも演奏するのが楽しいんですよ。2014年に活動再開した後に僕らが4人でサポートを入れずに演奏してきた曲は、<BMG>時代の曲のほうが多いんです。やってて楽しくて。そのときのアレンジを「レコード通りにやってみようよ、恥ずかしいけど」ってやると楽しいしお客さんも喜ぶし、今はそうやって立ち返れる時代なんですよね。逆に、「ちょっと久しぶりに『omni』の曲やってみない?」ってなると「うーん」って(笑)。特に『mono』の曲をやろうとは自然な流れではならないんですよね。そういうアルバムたちだし、そういう時代だったんだなって思います。

ーー山田稔明さんはソロになってみて、アーティストとしてのスタンスは変わりましたか?

山田:変わったと思いますね。今はほとんどライブがメインで活動してるから、新曲はどんどんライブで育っていって、「新曲です」ってやりはじめてから1年半か2年経ってようやくCDになるっていうパターンが多いんです。ライブ活動がメインに完全に切り替わったのがバンド時代とソロの違いだと思いますね。

ーー2013年の『新しい青の時代』のアナログ盤化のクラウドファンディングもサクセスしましたが、自分の過去の音楽が再評価される時期になっていることはどうとらえていますか?

山田:今年は特にそんな感じがしますね。特に『新しい青の時代』っていうソロは、もしかしたらGOMES THE HITMANの『ripple』と同じところにあるかもしれないなと思うんです。『新しい青の時代』の後は企画盤やライブ盤を出してますけど、やっぱり「『新しい青の時代』の次のアルバムです」って言って満を持して出すっていうのがまだできていないんです。『新しい青の時代』の次の完全な新作はこれから先だなと思っています。次のアルバムは「山田稔明」っていうセルフタイトルのアルバムだって決めてるんですけど、まだそれが出てないんです。

ーーそれは出そうですか?

山田:今年は無理かな、今年は出しすぎてるなと思ってて。<VAP>からボックスを出してもらえるなんて思ってなかったから、来年だなって。

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