SHINee「Good Evening」振付は“余白”がポイント? 感情のうねりを表現する菅原小春の手法

SHINee『The Story Of Light Ep.1』

 歌詞やMVに、昨年12月に逝去したジョンヒョンへの思いなど、さまざまな隠喩が込められていると言われている「Good Evening」。バラバラの体勢で座っているオープニングから、中盤でメンバー同士が思いを一つにするように同じ方向を向き、終盤での躍動的なシンクロダンスに至るまでの3分半には、先述した動きの少ない部分などかなりの“余白”がある。これは、メンバー自身はもちろん、ファンにとっても、想像力を働かせ楽曲の世界観に浸るための抜きをあえて作ったものと考えられる。とはいえ、ストリート系の動きを含みつつコンテンポラリーのようでもあり、かつ緩急に富んだその振付は、卓越したスキルの持ち主でなければ再現することすら難しいはずだ。

 現在日本で流行っている、歌詞を連想させる動きを取り入れた振付とも異なり、楽曲やアーティストと向き合ったときに生まれる感情のうねりをダンスで表現するその手法は、言い換えれば、踊り手の言語や文化を選ばないというメリットがある。一般的なダンスの枠を超えた“身体表現”として、高いダンススキルを持つ国内外のアーティストたちからも支持されている菅原の振付。あえて“踊らない”という変化球を繰り出してきた「Good Evening」に込められたメッセージについて、あなたも思いを馳せてみてほしい。

■古知屋ジュン
沖縄県出身。歌って踊るアーティストをリスペクトするライター/編集者。『ヘドバン』編集を経て、『月刊ローチケHMV』『エキサイトBit』などで音楽/舞台/アートなど幅広い分野について執筆中。

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