長澤知之、歌とギターで届けた“音楽家”としての妥協なき姿勢 アコースティックライブ東京編を見て

長澤知之の“音楽家”としての妥協なき姿勢

 アンコールでひとりで登場すると、まず「風を待つカーテン」を歌唱。音楽をつくり始めた頃の原風景が閉じ込められたような楽曲を、ひとりで力強く歌い上げた。そこから「今日一番の盛大な拍手を」と再び松江を呼び込んで、「僕らの輝き」「狼青年」へ。アンコールでは、デビュー初期の楽曲がまとまって演奏され、長澤知之が音楽に向かう原点を感じられた。さらにWアンコールでは、未発表曲「三月の空」と、オフィスオーガスタ所属アーティストが一堂に会するスペシャルユニット・福耳に書き下ろした「ブライト」をセルフカバーするというとびきりのサプライズで、この日のライブは幕を閉じた。

 独創的なメロディと、表情豊かな歌声。綺麗なメロディを、綺麗な歌声だけでなく、時に感情的な鬼気迫るような歌声でも紡いでいくことが、長澤知之の音楽の“味”となっているのだろう。この日会場に集まったファンもそのことを熟知しているようだった。誰ひとり置いていかない親密で寛容なムードが、心地よい一夜であった。

(取材・文=若田悠希/撮影=岩佐篤樹)

■セットリスト
『Nagasawa Tomoyuki Acoustic Live 2018』
2018年5月31日(木)東京・南青山MANDALA

1 左巻きのゼンマイ
2 スリーフィンガー
3 そのキスひとつで
4 もう赤い薔薇
5 はぐれ雲けもの道ひとり旅
6 バニラ
7 静かな生活
8 笑う(未発表曲)
9 ずっとプロポーズ
10 スーパーマーケット・ブルース
11 蜘蛛の糸
12 カスミソウ
13 長い長い五時の公園
14 P.S.S.O.S.
15 無題
16 アーティスト
17 ベテルギウス
18 幸せへの片思い
19 茜ヶ空
<アンコール>
1 風を待つカーテン
2 僕らの輝き
3 狼青年
<ダブルアンコール>
1 三月の空(未発表曲)
2 ブライト(福耳提供曲:カバー)

長澤知之 オフィシャルウェブサイト

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる