関ジャニ∞の“音楽的成長”刻まれたベスト盤『GR8EST』 前作『8EST』からの変化を読む

 その中心を担っているのはやはり、渋谷すばるだろう。ブルース、ソウル、ロックンロールなどをルーツに持つ彼のボーカルスタイルが、関ジャニ∞のいなたさ、生々しい手触りにつながっていたことは、このベストにおいても明確に示されている。特に心に残るのは、「オモイダマ」における歌唱。もともとは2014ABC夏の高校野球応援ソング/『熱闘甲子園』のテーマソングとして制作された楽曲だが、最後のサビの冒頭の<オモイダマ 今 空へ駆け上がった/それはあの太陽よりまぶしかった>というソロパートには、濃密な感情の込め方、独特のビブラート唱法を含め、渋谷のスタイルがもっとも強く表れていると思う。

 ここ数年はEDM、ヒップホップなどを軸にしたダンスボーカルグループが数多く登場しているが、関ジャニ∞は世間の流れやトレンドとは関係なく、生楽器の響きを活かしたバンドサウンド、愚直なまでに一生懸命に生きる姿を描いた歌を軸にしながら、自らの音楽性を追い求め続けている。本作『GR8EST』を携えた全国ドームツアーは7月15日の札幌ドーム公演からスタート。“6人の関ジャニ∞”として新たな一歩となるステージを温かく見守りたい。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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