Superfly、1年7カ月ぶりのシングルで迎えた新たなスタート 「今だからできることを積み重ねて」

Superflyが迎えた“新たなスタート”

「完璧じゃない部分も歌詞に込められるようになった」

ーー2曲目の「Fall」は志帆さんの作詞・作曲によるナンバー。SOIL&“PIMP”SESSIONSのメンバー(秋田ゴールドマン/Ba、みどりん/Dr)が参加した本格的なジャズサウンドによる楽曲ですね。

越智:そう、すごく本格的なジャズなんですよ。最初はちょっと躊躇ったというか、もっと無機質な音も入れたほうがいいのかなと思ったんですけど、アレンジの蔦谷さんと相談しているうちに「生音を活かしたストレートなジャズにしよう」ということになって。いい曲になったし、やって良かったなと思います。

ーージャズはもともと好きなんですか?

越智:休んでるときは、インストのジャズかクラシックをよく流していたんです。時間を縦に刻むような音楽ではなくて、気持ち良く揺れるような感じだから、ぜんぜん邪魔にならないんですよね。ジャズはセロニアス・モンクばっかりでしたけど(笑)、(『Fall』のジャズアレンジには)そういう影響もあるのかな。この曲はドラマ(TBS系金曜ドラマ『あなたには帰る家がある』)の主題歌で、番組のスタッフの方から「スピード感のある曲がほしい」と言われていて。ただ、私としては今までのようなロックチューンがイメージできなかったんです。もっと跳ねたリズムがいいなと思ったのも、こういうアレンジになった理由かもしれないです。

ーーいまの志帆さんのモードが反映されているんですね。<hey hey hell 地獄へ堕ちてゆけ>みたいなフレーズもあるから、ロックアレンジにするとKISSみたいになりそうだし。

越智:確かに(笑)。不倫のドラマだから、「できるだけドロドロしたほうがいいな」と思って。あとは“毒が身体に回る”とか“落とし穴”というキーワードを番組側からもらったんです。そこから“魔が差す”というワードが浮かんだときに「書けそう!」と思ったんですよ。“魔が差す”って恋愛に限ったことでもないじゃないですか? 私もよく魔が差すというか(笑)、あとになって「何でこんなことやっちゃったかな」っていう失敗が多いんです。誰でもそういう経験はあると思うし、みなさんに共感してもらえるんじゃないかなって。この曲の主人公は、男の人に近づいて“魔が差す”という状態にする魔物みたいな存在をイメージしました。自分の経験を活かしつつ、ちょっとファンタジーっぽい感じにしたというか。

ーー志帆さん、“よく魔が差す”というイメージはないですけどね。Superflyのパブリックイメージは、どちらかというと“強くて凛とした女性”じゃないですか?

越智:よく言われるんですけど、ぜんぜんそんなことないんです。しょっちゅう魔が差すし(笑)、ドジなので。そういう完璧じゃない部分も歌詞に込められるようになったんでしょうね。「Fall」もそんなに深刻な感じではなくて、男性に近づいた魔物のような女性が「この男、バカだな」って鼻で笑うくらいのテンションなので。

ーー失敗を肯定する感じ、いいですね。

越智:そうですよね。私も自分の失敗が許せないタイプだったんですよ。ライブのときも、何かミスするたびに心がギスギスしてしまって……。いまはそれも変わってきましたね。去年の11月のライブのとき、すごく久々に鍵盤の弾き語りをやったんです。きっと本番は緊張するだろうから、一生懸命に練習して「これなら大丈夫」という状態まで持っていって。本番でもノーミスだったんですけど、最後の最後、「ここは感動するだろうな」というところでミスして、不協和音みたいな音を出しちゃったんですよ。以前だったら「ステージに立つ資格がない」って落ち込んだと思うけど、そのときは「私じゃなくて鍵盤が悪い」って(笑)。そこはずいぶん変わったと思います。

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