西城秀樹は現代アイドルの“当たり前”を築いたーー中森明夫が功績を振り返る

 その後、80年代には“たのきんトリオ”が登場。新御三家が芸名で活動していたのに対し、たのきんトリオは全員本名で活動をスタート。70年から80年にかけて、アイドルは等身大な存在へとシフトしていった。新御三家とたのきんトリオの間にはChar、原田真二、世良公則による“ロック御三家”も登場したが、西城はこのロック御三家にも影響を与えていたのではないかと中森氏は続ける。

「原田さんと世良さんは西城さんと同じ広島出身で、特に世良さんのマイクパフォーマンスは明らかに西城の影響を受けている。というのも、小学生の頃から兄とともにバンドを組んでいたり、ジャニス・ジョプリンやロッド・スチュワートを好んで聴くなど西城さんはロック好きでした。マイクを蹴飛ばすパフォーマンスも日本人で最初に始め、スタジアムコンサートを開催したのもロックの文脈からでしょう。西城さんはアイドルシーンにロック文脈のショーを持ってきた人物でもあるのです。反対にロック御三家は西城さんの影響下で、歌番組に出るようになりました。今はバンドがテレビに出るのも、アイドルがロックを歌うのも当たり前ですが、70年代前半にはほとんどなかった。それを独力で切り開いた西城さんは正真正銘のレジェンドです」

 Village People「Y.M.C.A.」をカバーした「YOUNG MAN」が、近年でもBOYS AND MENやGENERATIONS from EXILE TRIBEらによって歌い継がれるなど、今もなお多くの影響を与え続けている西城秀樹。アイドルやポップミュージックを語る上では欠かすことのできない偉大な人物である。

(取材=久蔵千恵/構成=村上夏菜)

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