中川悠介が語る、10周年迎えたアソビシステムへの危機感と“変化の重要性”

中川悠介が語る“10年目以降のアソビシステム”

「日本でやってることをそのまま持っていくことが大切」

――アソビシステムは、KAWAiiカルチャーの世界発信において、インバウンドな『もしもしにっぽん』など様々な海外プロジェクトを仕掛けられてましたが、今後はどのように考えられてますか?

中川:そうですね。海外へは出ていこうと思ってますし、インバウンドはもちろん様々なプロジェクトをチャレンジしようと思っています。ただ、海外へ出ていくことが目的ではなくて、日本でやってることをそのまま持っていくことが大切なんじゃないかなと。クールジャパンの委員会もやらせてもらっています。昔って、やっぱり音楽ならロンドンだったり、ファッションならパリという憧れがあったと思うんです。でも、それが特になくて。いいものがいいっていう時代なんですよ。たとえばYouTubeにアップしたきゃりーを世界中の人が見るって、そういうことだと思うんです。これまで海外戦略が何なのかわからないまま進んでいきましたから。なので、自分たちが戦略だててというよりも一番大事なのは、日本でいいものを作り続けることだと思っています。その結果、海外はついてくると思ってます。

――YouTubeやSpotify、Apple Music、Amazonなど、海外へつながるインフラは10年前とは違い、整いつつありますもんね。

中川:そうなんですよ。Spotifyは上場しましたしね。でも、テクノロジーに捉われすぎないようにしたくて。IoTだ、AIだ、VRだ何だって、海外エンターテインメントを追いかけていると話題に出るじゃないですか。もちろん便利だし、いろんなことが変わると思うんですけど、僕はface to faceの人の関係性が一番大事だと思っていて。その価値を見出していきたいと思ってますね。エンタメ業界も泥臭さがあって。そこに大切なカルチャーもあるんじゃないかなって。

――コンテンツを生み出すチームの底力と誇りですね。

中川:新しいプラットフォームを作るときに必要なのはコンテンツや人だと思うんです。そこの関係性の組み方を変えていきたいなと真剣に思っていて。それもあって、最近いろんなカンファレンスやイベントで登壇していますし、今はそんなイベントなどで喋ることの大切さを感じています。エンタメって、裏方と演者ってハッキリしているじゃないですか。社長が表に出る必要性は本当は無いかもしれないけど、ITの会社は社長が表に出て、サービスやコンテンツの特性を自らの言葉で語ることで価値が生まれたりするんですよ。それは人を扱う会社であっても、やる意味はすごくあるなと思って。

――なるほど。ビジョンや今後の展開を明確に打ち出すことで、変わっていく側面があるかもしれません。

中川:なんか悔しいんですよね。エンタメがあるからこそ新しい体験ができて、そこから様々なサービスが生まれて、いろんなことがスタートできると思うんで。そこが資本のロジック、お金のロジックにおいて順番が逆転している感じがあって。それこそ、サービスライクじゃなくてコンテンツライクだと思うんで。そこは、もう1回がんばりたいなと思っていますね。

――それもあって最近、いろいろカンファレンスに出られていたんですね。今日もトークがスムーズですし。

中川:どうしても日本って、エンタメとITが交わりづらいじゃないですか。エンタメが、ITサービスを宣伝するツールでしか無いことも多いんです。そこを変えて、プラットフォーム側に立ちたいなと考えています。そこは業界全体でやりたいですね。

――昨今よく耳にする“コンテンツマーケティング”や“ファンマーケティング”というITワードは、実は、音楽業界が率先してビジネス化してきた考え方だったりするんですよ。ファンクラブビジネスなんてまさにサブスクリプション(定額制)なファンマーケティングであり、コンテンツサービスですもんね。

中川:ちゃんと地に足がつく形で、マイクロコミュニティでも儲かる方法論があることを大事にしたいですね。そこを模索しながら、小さいコミュニティがいっぱい生まれれば強くなるんじゃないかなって。それで業界自体が変わっていくんじゃないかなと。なので、僕らは新しいパートナーと積極的に組んでいくことを考えています。Airbnbとの提携もそうですし。やっぱり一周回って、解説ありのツアー体験とか、人とface to faceで会うことの大切さを感じていて。

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