小田和正、aiko、ENDRECHERI、KIRINJI、アイルネ……各作品から感じる“エバーグリーン”な魅力

KIRINJI『時間がない』

 KIRINJIが5人体制で初めてリリースするシングル『時間がない』表題曲は、堀込高樹の作詞・作曲によるナンバー。冒頭の<あと何回、君と会えるか/あと何曲、曲作れるか>というラインは、彼と同世代のリスナーにとって、切実な意味を持っているはずだ。人生の折り返しをとっくに過ぎ、残された時間のなかで何ができるかを真剣に考え始めるーーそんなミドルエイジのシリアスな思いを堀込は、洗練の極みとしか言いようがない極上のポップソングへと導いている。AORの進化形とも言えるサウンドメイクのなかで“人生後半、大切な人たちに愛を伝えて生きたい”という願いを込めた歌を響かせるこの曲から、デビュー20周年イヤーをスタートさせるKIRINJI。“残り少ない人生、やりたいことをやらねば”といったモードに入った彼らに対する期待は高まるばかりだ。

KIRINJI「時間がない」Teaser
アイドルネッサンス『アイドルネッサンス』

 2月24日のYokohama Bay Hall公演をもって解散したアイドルグループ、アイドルネッサンスの2枚組ベストアルバム『アイドルネッサンス』。2014年1月に始動、80年代〜10年代までの楽曲をカバーする“名曲ルネッサンス”をテーマに活動してきたアイルネ。デビュー曲「17才」(Base Ball Bear)をはじめ、「YOU」(大江千里)、「Funny Bunny」(the pillows)などのシングル曲、さらに「Happy Endで始めよう」(大瀧詠一)、「タイム・トラベル」(原田真二)といったJ-POPのスタンダードを収めた本作からは、“優れたソングライターの青春ソングを10代の少女たちが歌う”というこのグループのコンセプトのおもしろさがたっぷりと伝わってくる。日本の優れたポップスの再発見にもつながる、意義深い作品だと思う。

【ラストライブ ダイジェスト映像 2018.2.24@横浜】アイドルネッサンス

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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