超特急のライブにこめられた“8号車”への思い FCイベントツアー最終日を見て

超特急ライブにこめた“8号車”への思い

 そして「バッタマン」などメンバーが号車順にフィーチャーされていく曲では、6人体制に合わせてコールも一部変更。超特急のライブといえば8号車たちの一糸乱れぬコール&ペンライト芸でもおなじみだが、「Burn!」では従来のコールについてリーダーのリョウガから「これから進むべきなのに、悪い意味で立ち止まっているようにも感じられてしまうので……僕らは超特急という名前でもありますし『進むしかない』という決断をしました」とコメントがあり、6人の名前+超特急のグループ名が入った新コールが提案された。これはメンバーと既存の8号車が共に前へ進むための選択であるのと同時に、これから“乗車”してくるファンを温かく受け入れるためのアイデアでもあるのだろう。

 終盤のMCではユースケとユーキが新体制になったことへの思いを語った。「僕はここにいるメンバーと8号車のみんなと一緒に必ず夢のその先まで絶対に連れて行くから」とユーキが宣言するなど、時折声を震わせながらも2人が伝えたまっすぐな言葉に、真剣に聞き入った8号車たち。エンディングでもリョウガが「これからさまざまな変化があると思いますが、ここまで歩んできたすべてをムダにしないため、何より8号車のみなさんと一緒に夢を叶えるためのもの。今の僕らは前だけを向いて走るべきだと思っています」と言葉を選びつつ、6人の決意を真摯に伝えていた。しんみりした会場の空気を気遣うように、タクヤが「最後は笑って終わろう」と語りかけていたのも印象的だった。

 セットリストでいえばアンコールで披露された新曲「a kind of love」は、タカシの繊細さと力強さを兼ね備えた1人ボーカルで新しい風を吹かせつつも、ダンスの面では改めて“超特急らしさ”を提示するという意味でフックになっていたと感じる。ユーキが「(爽やかな)曲に引っ張られない、超特急らしい世界観がふんだんに込められたダンスになってる」とインタビューで語ったとおり、サビで“LOVE”を意味するLを指で作るなどインパクトのある振りや、電車をモチーフにした動き、変顔、「超特急です!」の決めポーズ、そして6人&8号車という7つの存在をカウントしていく指の動きなど、まさに“超特急による超特急オマージュ”といえる作品だ。

 愛する人との別離を切なくも前向きなものとして描いた「No More Cry」に始まり、“変わることのない超特急と8号車の関係性”を裏テーマにした「Starlight」で終わるライブコーナーの構成にも、6人の8号車への思いが込められていたであろうこのイベント。<どんなに時が過ぎていっても 変わらないものはここに>という歌詞や、最後に全員が円陣を組むように寄り添って終わるダンスにも、“新体制の決意とメンバーの絆”が色濃く表現されていた気がしてならないのだ。

(写真=米山三郎、深野輝美)

■古知屋ジュン
沖縄県出身。歌って踊るアーティストをリスペクトするライター/編集者。『ヘドバン』編集を経て、『月刊ローチケHMV』『エキサイトBit』などで音楽/舞台/アートなど幅広い分野について執筆中。

超特急『a kind of love』(通常盤)

■リリース情報
『a kind of love』
発売中
価格:【通常盤】1,200円(税込)
【FC限定盤(FC会員限定販売)】1,000円(税込)
【WIZY限定盤】5,800円(税込)+送料800円(税込)/CD+Blu-ray
【ARENA LIVE盤】<CDのみ>1,000円(税込)
<チケットセット>8,980円(税込)/CD+『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2018 SPRING”チケット+限定特典生写真

■ライブ情報
『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2018 SPRING 「Sweetest Battle Field」』
5月26日(土)武蔵野の森総合スポーツプラザメインアリーナ
5月27日(日)武蔵野の森総合スポーツプラザメインアリーナ
6月9日(土)神戸ワールド記念ホール
6月10日(日)神戸ワールド記念ホール

■関連リンク
超特急 オフィシャルサイト
『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2018 SPRING 「Sweetest Battle Field」』特設サイト

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