DearDream×R・O・N×高嶋監督が語る、『働くお兄さん!』音楽制作の裏側

『働くお兄さん!』座談会

「DearDreamの可能性が広がった」(溝口)

ーー『働くお兄さん!』は、絵柄がかわいらしいのに対して、音楽はかっこよくてギャップが感じられます。

高嶋:ユルい絵柄にユルい音楽をつけるとユルユルになっちゃうので、音楽はかっこいいものにしようと当初から考えていたんです。“今っぽい”音楽を自由度高く作れて、なおかつ期待にも応えてくださる方ということで、今回R・O・Nさんにお願いしました。

ーー富田さん、溝口さんとR・O・Nさんは今日が初顔合わせということですが、お互い会ってみての印象はいかがですか?

溝口:R・O・Nさんは曲がかっこいいので、そのままのイメージなのか、逆に根暗なタイプなのかどっちだろうって想像してたんですけど、実物もすごいかっこいいです!

富田:僕も「納得!」って感じでした。曲のイメージとR・O・Nさんがぴったりで、やっぱかっこいいなって。

R・O・N:ありがとうございます(笑)。DearDreamの第一印象は、正直「かわいい」でしたね。

富田:そうっすね。

R・O・N:「そうっすね」、じゃねぇよ!(笑)。

ーージングルテーマ「働くお兄さん」、主題歌「KEEP YOUR HOPE ALIVE」、それぞれに込めたイメージを教えてください。

高嶋:「働くお兄さん」は、「朝、元気良くこれから働き出すぞ」というイメージです。アニメだとOPは15秒しかないということで、R・O・Nさんには「短くキャッチーに」とオーダーしました。「KEEP YOUR HOPE ALIVE」は、「バイト帰りで疲れてるけど高揚感がある」というイメージです。40秒で視聴者の人たちに響くような、メロディアスな曲をお願いしました。

R・O・N:具体的なオーダーをいただいたので、すごく作りやすかったです。最初は、ジングルと主題歌、合わせて1曲で作ろうとしていたんですよ。それで「切って使えるといいね」って話してたんです。

高嶋:でも、全然曲調も違いますしね。

R・O・N:うん。ただ、実はテンポは一緒なんですよ。拍を半分でとるか倍でとるかの違いで。

ーーそうなんですね、全然気づきませんでした!

R・O・N:そういえばずっと気になってたんですけど、最初の歌詞では〈働く(働く)〉だったのに、いつの間にか〈働け(働け)〉に変わってましたよね?

高嶋:あれは、どのタイミングだかはわかりませんが、聞き間違いから発生したんじゃないかという説があります(笑)。でも、結果的に〈働け(働け)〉になったことで、歌によりインパクトが出て良かったです。

溝口:「働くお兄さん」は、僕も未だにほぼ毎朝聴いてますもん! レコーディングは最初に15秒のジングル部分だけを録っていたので、その後にこんな歌が続くとは僕らも想像していませんでした。上がってきたものを聞いて、「クソかっけー!」ってみんなで話してました。

ーー溝口さんと富田さんは、レコーディングの際に歌い方などはどのように意識していましたか?

富田:これまでのDearDreamの曲では、キラキラしていて笑顔が多いような声を意識して歌っていたんで、逆に今回はナチュラルに歌えました。歌詞もメッセージ性が強いので、感情が入りやすくて楽しかったです。めちゃくちゃノリノリでレコーディングできました! ジングルテーマよりも主題歌の方が、歌詞にもくたびれた感があってユルいグルーヴが出ていたので、自分がワルくなったような感じがして楽しかったです。ほかのメンバーもめちゃくちゃテンション上がってましたね。

溝口:僕は、今まではハッキリ歌う意識をしてたんですけど、こういうタイプの曲でハッキリ歌うのはダサいなと思ったので、ボイストレーニングの先生と相談したり、R・O・Nさんの歌声を聞いて発音を意識したりもしました。

ーー英語の発音も、これまでの楽曲と比べて本格的ですよね。

溝口:英語もですけど、意外と日本語の発音が難しかったんです。たとえば「KEEP YOUR HOPE ALIVE」の〈ズレてんだ今日の原価〉という部分は、大げさに言うと「今日」を「クォ」みたいに発音するよう意識して歌っていました。

ーー富田さんは先ほど「自然に歌えた」とおっしゃっていましたが、溝口さんは逆に少し試行錯誤されましたか?

溝口:そうですね。最初の頃に歌っていた音源を聞いても、全然かっこよくなくて……。でも、発音を意識できるようになってからは楽しく歌えました。その差を体感できたことも、すごく勉強になりました。

ーーR・O・Nさんは、仕上がった歌入り音源を聞いた感想はいかがでしたか?

R・O・N:まぁやっぱ、かわいいっすよねぇ。とはいえ、思っていたよりも力強い歌い方をしてきたなと思いました。以前の彼らの曲と比べても、両極端な部分もありますしね。

ーー「自分の歌に寄せてくれたんだな」とも思ったり?

R・O・N:それもありました。カッチリ歌ってきた人にとって、このスローなテンポでハネるように歌うのは難しかったと思う。アクセントの置き場所も少し変わっているので、すごく練習してくれたんだなって伝わってきました。楽しんで歌っていただけたのであれば良かったです。

富田:DearDreamの曲って、歌もダンスも結構激しいんですよ。でも、『働くお兄さん!』の曲は、どちらの曲もバリバリ踊る感じではないので、この前ライブで披露させてもらった時、めちゃくちゃ歌に集中できたのも嬉しかったです。

溝口:書いといてくださいね、「踊りが少なくて良かった」って(笑)。

R・O・N:「踊りたくない」、と(笑)。

富田:いや、もうね、楽しくライブできたんです! めっちゃ歌った感じするのに、そんなに汗はかいてなくて。それも、これまでの曲とは曲調が違うからなんだなと思ったところではあります。

溝口:確かに、今回こういう曲を歌わせていただいたことで、今後の可能性が広がったなと思いました。

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