Sonar Pocketが歌い続けてきた“ラブソング”の進化 「自分から出る言葉を大事に」

Sonar Pocket、ラブソングの進化

「シンプルに出てきたものが正しい」(eyeron)

ーー「自分たちから出る言葉」というのは、具体的にどういう部分でしょうか?

eyeron:僕が歌っている箇所だったら、<不器用な僕の「アリガトウ」>は、自分のベーシックにあるもので、これまでだったら逃げていた言葉ですね。でも、「Sonar Pocketらしく」ということがあったので、胸を張って出せました。この10年で色んな経験をしたからこそ、シンプルに出てきたものが正しいという自信もあります。

ko-dai:何年か前だったら、“あるある”というか、恋愛で誰もが通ったことのある経験や風景を歌っていたので。たとえば「好きだよ。~100回の後悔~」(2011年リリース)の<記念日のメール たくさんのハートマークお互い送り合って 増えてった鍵のマーク>。当時は今とは違ってみんな携帯電話を使っていたから、そのやりとりを大切に思う気持ちを<鍵のマーク>というモチーフを出して、分かりやすくしていたんですけど、「108~永遠~」は<空が笑ってる 風が踊ってる>とか<なびく髪 目が合い 笑い合う>っていう、景色がぱっと浮かんでくるような描き方になりました。全体としてはストレートなメッセージだけど、その中で比喩表現を使っていくというのは、僕たちとしては新しい部分だと思います。

ーー確かに、説明的すぎない、感覚に委ねる表現が増えた印象がありました。

matty:そうですね。表現って複雑で、考えさせられる表現、いかようにも取れるみたい表現もあるじゃないですか。でもある意味、<空が笑ってる 風が踊る>というのもストレートなんですよね。そこだけクローズアップしてもなんとなく感情がわかるというか、描かれている情景が想起しやすいですよね。

ko-dai:映画の風景からインスピレーションを受けたというのもありますね。特にエンディングがかかる前の風景が印象的だったので、映画とあわせて楽しんでほしいです。

ーーko-daiさんとeyeronさんの声質、あるいは歌い方の違いが、楽曲のアクセントになっていますね。

ko-dai:僕はわりと優しめで歌って、eyeronが明るく歌っていて、サビでもっと広がっていくというイメージですよね。声のバランスも、最近は1番2番で分けて僕とeyeronが歌うことも多かったんですが、「108~永遠」では、1番の中でAメロとBメロで声が変化していく。レコーディングの時も、僕がまず最初に歌を録ったのですが、そのあとのeyeronのテイクが明るくて、そっちの方が映画の雰囲気にもあっているなと思って。僕の歌声が切なく、寂しく聞こえたので、まるっと録り直しましたね。

ーーカップリングの「Precious」もバラードナンバーですが、2曲ともラブソングにしようというのはテーマとしてあったんですか?

ko-dai:「Precious」は、1年前くらいに完成して去年7月から始まったツアーで披露していた新曲です。「Precious」を作っているときは、当たり前のことにもありがたみを持って感謝しようとか、大切なものを見失わないように、というメッセージ性が、僕らの中でも大きなテーマになっていて。それは恋愛においても同じだと思うんですけど、今回、『honey』の主題歌で「108~永遠~」をリリースするにあたって、そういうテーマを持った曲をカップリングに入れておくことで、相乗効果じゃないですが、「108~永遠~」に大きな意味を与えてくれるなと思ったんです。

eyeron

eyeron:この楽曲はSonar Pocketが第2章として少し変わろうとしている時に作っていたラブソングなんですよね。らしさを出した「108~永遠~」が1曲目にあって、「Precious」で新しさを追求していて、二つのラブソングが共存させることで、表現としての幅も見せることができるんじゃないかなと。

ーー同じラブソングでもアプローチの仕方が違ってきますもんね。

eyeron:そうですね。今までは表題曲がラブソングだったら、2曲目は違うテーマな曲にすることが多かったんですが、そうではなくて同じラブソングでも幅があることができたというのは良かったですね。

matty:「108~永遠」はデビューからお世話になっている師匠のような存在のSoundbreakersさんにアレンジをお願いしたのですが、「Precious」はアレンジまでArmySlickさんにお任せして。ピアノの旋律も含めて、ちょっとセンチメンタルな方向性でトラックを固めてもらいました。ギターの入れ方も、ただのアコギではなくナイロン弦で入れて。鉄の弦とナイロンの弦では響きが違って、ナイロン弦では、甘めというか丸いサウンドで温かい感じを出しつつ、でも切なさもある。僕らのラブソングに対する想いや世界観の構築の仕方がうまく発揮できた楽曲なんじゃないかなと思いますね。

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