MONDO GROSSOが『Attune / Detune』で示した音楽的発展 宇野維正が前作との関係性を考察

MONDO GROSSOが示した音楽的発展

 今作『Attune / Detune』からは、BiSHのアイナ・ジ・エンドをボーカルに迎えた「偽りのシンパシー」が吉岡里帆主演のドラマ『きみが心に棲みついた』(TBS系)の挿入歌として一足先に公開されて、早くもiTunesのJ-POP部門で1位を獲得するなど大きな話題となっている。トラップ以降のヘビーなベースと変拍子のAメロから「ハッ!」とさせられる同曲からは、MONDO GROSSOが90年代伝統文化としてのダンスミュージックにとどまるつもりもなければ、ただ闇雲にフリーフォームな音楽に向かっているわけでもなく、時代の空気もたっぷり呼吸しながら、その上で新しい「MONDO GROSSOだけの音楽」を生み出していることがわかる。

MONDO GROSSO「偽りのシンパシー」MV

 SHAKKAZOMBIEのBig-OによるラップとシンガーRHYMEによる英語詞、フックでの大和田慧の歌が織りなすラップチューン「One Temperature」で幕を開ける『Attune / Detune』だが、「続編」アルバムというだけあって、前作『何度でも新しく生まれる』で自ら設けた「日本語の歌モノ」というルールの余韻は今作にも残っている。また、1曲の中でまるで生き物のようにリズムもテンポが変化&展開していく近年の大沢伸一に特徴的な奔放かつ緻密なトラックメイクも健在、というかますます冴え渡っている。本作『Attune / Detune』をより正しく定義するなら、『何度でも新しく生まれる』の「続編」というより、「日本語の歌モノ」アルバムに挑戦した先で新たに到達した「発展」アルバムと言うべきだろう。

MONDO GROSSO「One Temperature ft.Big-O」Teaser
MONDO GROSSO「春はトワに目覚める」 (Ver.1) (Short Edit)

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」主筆。「MUSICA」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」「文春オンライン」「Yahoo!」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)。Twitter

MONDO GROSSO 『Attune / Detune』

■リリース情報
MONDO GROSSO 『Attune / Detune』
3月21日(水)リリース
iTunes
Amazon
TOWER RECORDS
価格:
CD:¥2,000+税
CD+Blu-ray:¥3,300+税
初回仕様:デジパック

<CD収録曲>
01. One Temperature[Vocal:Big-O]
02. TURN IT UP[Vocal:大橋トリオ]
03. 偽りのシンパシー(Album Mix)[Vocal:アイナ・ジ・エンド(BiSH)]
※TBS系 火曜ドラマ「きみが心に棲みついた」挿入歌
04. KEMURI[Vocal:ACO]
05. ̶ Attune / Detune ̶
06. KEMURI (Retune)[Vocal:RHYME]
07. ERASER (FRF 2017 Rearrangement)[Vocal:二神アンヌ]
08. ラビリンス (Thousand Tears Orchestra Instrumental)
09. 惑星タントラ / やくしまるえつこ

<Blu-ray収録曲>
※3Dサウンド採用、Blu-rayの高画質で収録
・偽りのシンパシー ※初商品化
・ラビリンス
・惑星タントラ
・SEE YOU AGAIN
・TIME
・TURN IT UP ※初商品化
・春はトワに目覚める ※初商品化

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