花澤香菜、佐橋佳幸&水野良樹タッグで開いた新たな扉 「遠慮もだんだんなくなってきている」

花澤香菜が開いた新たな扉

「私のなりたいものを書いてるような感じ」

ーーちなみに、“春に愛されるひと”って、花澤さんのイメージだとどういう人物像が浮かびますか?

花澤:柔軟なんだけど、しっかり意志を持って、まっすぐ進めるような人というか。新しいことを始める時に春に歓迎されているような、追い風しかないような。そんな雰囲気ですね。

ーーこの曲を聴いた時の印象なんですけど、これまで、いろんなミュージシャン、いろんな作曲家の方が、花澤香菜さんに楽曲を提供してきましたよね。そういう時って「今回はニューヨーク」とか「今回はUK」とか、いろんな切り口だったと思うんですけれど、水野良樹さんと佐橋佳幸さんは日本語のポップスとして王道の作詞作曲とアレンジをされている感じがする。なので、改めて新鮮な感じがあったんじゃないかと思います。

花澤:私も歌っていて思いました。今までの曲はどれも好きなんですけど、今回はカラオケで一緒に歌いたくなるような曲だなって思いましたし。あとは佐橋さんのボーカルディレクションが面白くて。こう発音したり、こう語尾を伸ばしたり縮めたりした方が、この言葉は伝わるんじゃないかとかっていうのを考えてくださって、いろいろ提案してくださって、それを夢中になって二人でやり取りしていたらあっという間に時間が経ってしまった感じです。

ーー佐橋さんってギタリストの方だから、サウンド重視の方だと思いきや、言葉の響かせ方にこだわりがあるんですね。

花澤:そうですね。歌入れ作業が一番楽しいっておっしゃってました。

ーー印象的だったアドバイスはありますか?

花澤:カップリングの「ひなたのしらべ」は、佐橋さんのギターと一緒に二人でせーので録って、ほとんど最初に歌ったテイクが使われているんです。何回か歌ったあとに最後の行だけ「絵本を閉じるみたいに、ちょっと優しく言葉を置いてみようか」って言われて。そういうお芝居のディレクションみたいなことをおっしゃってました。

ーー「ひなたのしらべ」の話は花澤さんが作詞、佐橋さんが作曲ですね。これはどういうふうに作っていった曲なんでしょうか?

花澤:最初に佐橋さんとお話しした時に、森の中で笛とか鳴らしながら穏やかに歌っているような、アイリッシュ系の曲を一度やりたいというのをおっしゃっていて。プリプロでも「ひなたのしらべ」の1番と「夜は伸びる」の1番を弾いてくださって、「これに香菜ちゃん歌詞つけてみてくんない?」って言われて。そこからみんなで歌詞の方向性を一緒に考えてくださって。その後にもう一度集まって、私が書いた1番からちょっとずつ作っていって。すごくやりやすかったですね。こういうやり方だったらいっぱい書けそうだと思いました。

ーー「ひなたのしらべ」はちょっと童謡っぽい曲調ですが、そこからイメージしたものを花澤さんが歌詞に書いていった。

花澤:そうですね。書いてるうちに、もし自分の子供ができたらこういうふうに育ってほしいとか、そういうことがどんどん出てきて(笑)。ちょっと子供に歌ってるような感じがいいなとか、自分もこうありたいなとか、そういうことを優しい言葉を乗せられたらいいなって思いながら書いていて。そこから「これは『 NHK みんなのうた』を狙おう」みたいな話になったりしたんですけど。(笑)。

ーー「夜は伸びる」はソフトロックというか、洗練されたポップスな曲調ですけれども。こちらはどうでしょうか?

花澤:佐橋さんが最初のデモを作ってくださったときに、夜に私が意気揚々と歩いているような、楽しい夜の街みたいな、そんなのイメージしてるんだっておっしゃっていて。だから、こっちはもうちょっと弾けてもいいのかなと思って。こっちはこっちで私のなりたいものを書いてるような感じです。

ーーそこで花澤さんがなりたい像って、どういうものだったんですか?

花澤:これも「春に愛される~」とちょっと似たようなところはあるんですけど、夜っていう未知の空間に、そこを怖がらずに楽しんで踊りながら進んでいるような、そんなちょっと野心まで見えちゃうような、そんな感じの女の子がかっこいいなと思いながら書いてましたね。

ーーちなみに、「ひなたのしらべ」の「ひなた」(『3月のライオン』川本ひなた)とか「夜は伸びる」の「夜は」(『夜は短し歩けよ乙女』黒髪の乙女)だったりとか、これまで演じられた役や作品のキーワードも曲名に入っていますよね。

花澤:そうなんです。演じていて、かっこいいなって思う女の子に巡り会えていて。なんだかその子たちが自分の一部になっているような気がしていて。それをイメージして作ろうとはしてないですけど、そうなっちゃいますね。

ーーこうなりたいって女性像が、いろんな役を演じることで広がっていく。

花澤:そうですね。いろんなドラマがあって、その場面に一緒にいるので、なんだか体験したような気持ちになる。みんなと話している中で、イメージがキャラクターも含めて広がっていく感じですね。

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