04 Limited Sazabysは“パンクバンドのロマン”を繋ぐーー『Squall tour』で示した現在地

フォーリミ『Squall tour』レポ

 日の目を見るまでに時間を要したバンドが武道館公演を経た後、感動的なストーリーの先にどんな作品やライブを見せるかは、2010年代デビュー組のバンドにとって一つの課題だろう。フォーリミは武道館をあくまでも通過点だと明言し、そして2017年後半を経て2018年を迎えた。爽快で切ないその音楽の内実には、音楽だけではなく、どこまでやっても満足できないバンドという生き方の謎がある。GENの一面的ではない人間性も、それをむしろ表に出すからこそ、嘘は全てバレてしまう現代にリアリティを持って受け入れられている。

 地元・名古屋にこだわり、最も多くの時間を過ごして来たその土地で、見せたいバンドがいるから開催する『YON FES』。そしてあくまでも軸足をライブハウスに置く活動姿勢を見せること。それはハイスタの音楽性や活動スタンスに影響された恐らく最後の世代(それでも今年メンバーは30代を迎えるが)として、彼らなりのやり方で繋いでいくパンクバンドのロマンであり、彼らなりのDIY精神が今も有効なことを示している。結成10周年に込められた意思も感じる、新たな一歩を見たライブになった。

(写真=photo by Viola Kam (V'z Twinkle Photography) )

■石角友香
フリーの音楽ライター、編集者。ぴあ関西版・音楽担当を経てフリーに。現在は「Skream!」「PMC」「EMTG music」「ナタリー」などで執筆。音楽以外にも著名人のテーマ切りインタビューの編集や取材も行う。

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