UVERworldのライブはなぜ胸を熱くする? “有言実行”を体現するバンドスタンスを紐解く

UVERworldが胸を熱くする理由

 それはなぜか――ということを考える上で見逃せないのが、TAKUYA∞による“言葉”がライブのコンダクター的な役割を担っているという点である。例えば「孤独の中で見つけた唯一の生き方が自分にとってはUVERworldだった」という話をしてから「ALL ALONE」に突入するなど、この日のライブは基本的に“歌詞に登場する言葉に関連するMC→曲の演奏”という構成を為しており、また、ほとんどの曲において演奏中はスクリーンに歌詞が映されていた。そのため、オーディエンスは両者の内容が一致していることを分かりやすく確認することができる。さらに言うと、それによって浮かび上がるのが、『TYCOON』のど真ん中にある――そしてこのバンドが自らのキャリアを通じて手繰り寄せた“自分の道は自分の手で切り拓け”というメッセージであるため、バンドの“言っていること”と“やっていること”が一致しているのも一目瞭然。この、心・技・体の噛み合っている感じこそが、今多くの人々がUVERworldに胸を熱くさせている理由なのではないだろうか。

 9枚のアルバムをリリースしてきた中で離れていった人も少なくないと思う、という話をしながらTAKUYA∞は「でも、悔しいとか、そういう感情はなくなった」「さらに良い楽曲を作って迎えに行けばいい。まだまだ勝負できる」というふうに語っていた。それらの言葉が示す“来るもの拒まず、去る者追わず”的な精神が今の彼らの在り方とバンドの状態の良さを象徴しているように思えた。

■蜂須賀ちなみ
1992年生まれ。横浜市出身。学生時代に「音楽と人」へ寄稿したことをきっかけに、フリーランスのライターとして活動を開始。「リアルサウンド」「ROCKIN’ON JAPAN」「Skream!」「SPICE」などで執筆中。

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