KinKi Kids「Topaz Love」は彼らにしか歌えない歌だ デュエットソングの新境地に溢れる“らしさ”

 特筆すべきは剛と光一が左右のチャンネルに分かれて別々の歌詞を歌い、二つの意味を持たせた<いたいよ/痛いよ>でユニゾンさせて締めるラストの展開だ。二人の独特の距離感や、剛と光一という二人のアイドル像の微妙な違いがかえって彼らの共通点を浮かび上がらせるように、二人それぞれ別々の歌詞を“同時に”歌うことで、むしろ二人のあいだだけで生まれる特有の情感のようなものが溢れ出す。別の歌詞を一緒に歌うことで彼ららしさが出るという逆転の発想に、筆者はデュエットソングの新境地すら見た。

 以上のことから「Topaz Love」は、KinKi Kidsという特異な性質を持った彼らだからこそ作れた、そして彼らにしか歌えない、彼らだからこそ出せる情緒が味わえる曲なのだ。

 ちなみに、通常盤のカップリング曲で作曲を林哲司、編曲を船山基紀が担当した「哀愁のブエノスアイレス」は重厚な金管隊と流麗なストリングスが二人の歌唱を支えるいぶし銀のナンバーで、こちらもぜひJ-POPフリークの諸氏にはオススメしたいところ。良質な楽曲を歌い続ける彼らの活動を今後も注目していきたいと思わせてくれるリリースであった。

■荻原 梓
88年生まれ。都内でCDを売りながら『クイック・ジャパン』などに記事を寄稿。
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Twitter(@az_ogi)

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