ライブ演出×テクノロジーが次に向かう未来は? PAX JAPONICA GROOVE×VJyou対談

PAX JAPONICA GROOVE対談

VJyou「時代がどんどん変わってる感覚がある」 

――お二人は最近のライブ演出で具体的に興味を持たれたり、おもしろいと思う事例はありますか?

黒坂:今年はチームラボさんのヒカリエでのイベントに関わらせていただいたり、ライゾマティクスさんと仕事をさせていただいたんですけど、そういうものの演出を見ると時代がどんどん変わってる感覚があって興味が生まれてますね。

VJyou:そことも近いと思うんですけど、最近は照明の使い方が変わってきましたね。昔は灯体一個ごとにコントロールしていたのが、いまはすごく細かくコントロールできるようになったんですよ。今回のライブでも使うのですが、LEDのドット一個ずつが音に反応したりとかもできるようになりました。そういう場合、一旦映像で光の筋を作ってから、それを照明用の信号に変換する時もあるし、映像の色に同期して照明の色を変える時もあります。色んなやり方がありますが、最近は照明と映像が融合していっている感覚はあります。

ただ、プログラミングの複雑な照明演出で昔ながらの演出が全部カバーできるかというと、そうはいかないんですよ。だから今回は照明だけで3チーム入ってて、人じゃないとできない部分とプログラムじゃないとできない部分のそれぞれ得意なチームをみんな入れてしまえみたいな感じで(笑)。

黒坂:めちゃくちゃ贅沢ですね(笑)。

VJyou:普通の企業案件でもそういうことはよくあるんですけど、結局どこかひとつのチームに全部を任せてしまうよりかは、専門家同士を混ぜたほうがまとまりがいいと思いますね。常設型のコンテンツと違い、今回のようなライブなコンテンツの場合は得にそう思います。

――新旧のテクノロジーのプロフェッショナルが合わさることで、新しい価値が生まれるというか。

VJyou:なので今回は、メディアアートやクラブで培ったノウハウをライブハウスのパッケージに詰め込むとこうなります、みたいなことですね。

黒坂:それ自体が新しいんですもんね。

VJyou:そういう意味では演出側もマルチでないといけなくなってきましたね。映像の人が照明をかじったり、その逆もあったり、さらにプログラミングもどこかで必ず入ってくるので。

――逆にテクノロジーの進化によってデメリットを感じることはありますか?

VJyou:インターネットの進化のおかげで、初めて見たという印象を与えるものを作るのが難しくなりましたね。それこそ人の目が4つになるとか、サイボーグになるとかしない限り、まったく新しい体験というのはなくなってきてるので、そのなかでいかに個性を出すのかが課題になってます。

黒坂:想像できますし、想像の枠も広がってますものね。

VJyou:だから演出としては、真新しさというよりもいかに世界観とシンクロさせるかが重要になってくるんじゃないかと思います。

――そういう意味ではVRの進化も興味深いですよね。そういった技術を使った新しいライブ演出が生まれてきそうな予感もしますが。

VJyou:インターネットの回線がもっと速くなると、3DのVRにVJの映像を混ぜたミックスリアリティー配信みたいなものができると思うんですけど、それを綺麗な環境でやろうと思うと10ギガぐらいの光回線が必要なんですよね(笑)。実写だと多少解像度が下がってもわかりますけど、CGは解像度が下がるとただのノイズみたいになってしまうので。だからいまはネットワークが鍵になってますね。5Gが普及するはずの2020年が楽しみです。

黒坂:ネットワークはもっとサクサクとできないもんなんですかね?

VJyou:そこはプロバイダにがんばっていただかないといけないんで(笑)。VRカメラも普通に6Kの3Dが実現できてて、4Kの生配信VRも技術的には可能なんですけど、やっぱり回線速度がネックになりますね。それとテクノロジーの部分で言うと、今後はアバターが進化していくと思います。自分がヘッドセットを被って、VR空間の中のアバターが自分と同じ動きをするみたいな。

黒坂:そんなことができるんですか?

VJyou:やってる団体は、もう試験的にやっていますね。まだまだクオリティーは途上ですが。VR空間だけで行うライブとか、メンバーがみんなVRカメラに向かって演奏するライブみたいなものは増えてくるかもしれないですね。いまもコンサートを最前列で見てる感じを体験できるVRのチケット販売をやってますけど、もう少しするとスタジオライブをVR空間上で見たりもできるでしょうし。

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