安室奈美恵、ポルカ、リトグリ……音楽と人生が結びついた女性アーティストたち

コトリンゴ『雨の箱庭』

 昨年秋に公開された映画『この世界の片隅に』の音楽で第40回日本アカデミー賞優秀音楽賞など多くのアワードを受賞、(ようやく!)その才能に多くの人が気付いたコトリンゴ。『birdcore!』(2014年)以来、約3年ぶりとなるオリジナルアルバム『雨の箱庭』でも彼女は、高度な音楽性と純粋な創造性に溢れたポップミュージックを描き出している。「いろんなことが絡み合いながら/少しずつたくましく成長してゆく、お庭のようになればよいなと思いながら考えました」と“koniwa”と名付けられたレーベルからリリースされる本作には、ジャズ、クラシック、現代音楽、エレクトロニカなど自由に行き来するサウンドメイク(特にストリングスアレンジは秀逸!)、日々の生活のなかで起こる小さくて大切な事柄を映し出す歌がしっかりと息づいているのだ。こんなにも豊かなポップスに出会えたのは本当に久しぶりだ。

コトリンゴ「漂う感情」
あっこゴリラ『GREEN QUEEN』

 “あっこゴリラ”の由来は、リズムで会話するゴリラに魅了されたから。もともとはドラマーでトラックも自ら制作。クラブ、ライブハウス、アイドルイベント、MCバトルとどんなフィールドでもガッツリ盛り上げる一方、アフリカやベトナムでMVを撮影するなど、その活動は変幻自在にして自由そのもの。やりたいことを好きなようにやる! というスタンスは、コラボ配信シングルを中心とした本作『GREEN QUEEN』にもしっかりと示されている。ソウルフル&ファンキーなフロウがカッコいい「黄熱病 -YELLOW FEVER- × STUTS」、オルタナR&Bとトラップで遊び倒したディープなトラックにやられる「ゲリラ × 向井太一」、ジェンダーを巡る偏見と誤解を一刀両断、“超越した性”を体現する「ウルトラジェンダー × 永原真夏(SEBASTIAN X)」など音楽性もメッセージもめちゃくちゃ強烈!

あっこゴリラ「GREEN QUEEN × PARKGOLF」

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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