台湾出身バンド・noovy、挫折から生まれた絆「僕らなんてどうでもいいのかなと思ってた」

「どうなるか分からない状況で4人が頑張ってきたから今のnoovyがある」

――色々と苦労したんですね。「Garage」には歌詞にみなさんの思い出の場所としてとあるガレージが登場しますが、これは実際にあった場所なんですか?

Shawn:実はそのモチーフになったのは、事務所の中にある僕らの練習スタジオです。台湾にはバンドがあまりいないので、その場所を使うのは本当に僕らだけで。当時の悶々とした日々を送っていた場所を「ガレージ」という言葉で表現してみました。

JK:そもそも、僕らは学校に通いながらの活動なので、そのスタジオでバンド練習ができるのは土日しかなくて。その建物に僕ら4人しかいない状態で、朝9時頃から、夜の7~8時までずっと練習をしていました。その間、会社の誰にも会わないので……。

――ビル自体も、まるで4人の大きなガレージのようだった、と。

Mark:(笑)。初めての大げんかも、悔しくて泣いた経験も、嬉しくて笑った経験も……。僕らはそのスタジオで色々なことを経験しました。

Hank:「Garage」は、みなさんも僕らと同じように、諦めないで頑張ってほしいという気持ちを込めた歌詞なんです。そうやって勇気をもらってくれたら嬉しいな、と思うので。

――また、今回のスタジオ音源では、新しくシンセが加えられていますね。みなさんはこの曲を演奏するとき、どんなことを意識していますか?

Shawn:「Garage」はもともと英語詞だったんですけど、それは割と適当な歌詞になっていて、最初の頃は「聴いた人が前向きな気持ちになってほしい」ということしか考えていませんでした。でも、日本語の歌詞にしたときに、自分たちの実体験が曲に入ってきたので、よりメッセージ性が伝わるような演奏にしようと思うようになりました。

JK:この曲は疾走感溢れる演奏になっていますけど、今の日本語の歌詞は、失敗したり悩んだりしながら夢を追いかける歌詞なので、その雰囲気を忘れずに演奏しようと気をつけています。AメロとBメロには目標に向かって色々なことを手探りしている雰囲気があって、サビでは思い切って走るような感じを意識していきました。

――さっきHankさんは「最初ギターに興味が持てなかった」と話してくれましたが、この曲ではそのHankさんが重要な役割を担っているんじゃないですか?

JK:そうですね。あの頃、Hankがギターに興味を持ってくれないのは大きな問題で、どうすれば興味を持ってくれるか考えるのも、バンドの絆を深めてくれたと思います。

Shawn:(セリフ調で恰好をつけて)僕たちは約束しました……。絶対に嘘は言わない、と。

Hank&JK&Mark:(日本語で)気持ち悪い(笑)。

――一方、2曲目「イチバンボシ」は日本にきてからの日常が歌われている曲で、歌詞には路線図の複雑さや財布をなくしたことが綴られています。実体験に基づいているものがあれば、それぞれ詳しく教えてもらえますか?

Shawn:この曲は、日本のみなさんにnoovyを紹介するのがテーマなので、僕らが日本で経験したことを挙げていって、それを歌詞にしてもらいました。財布をなくしたのは僕とHankです(笑)。僕は人生で初めて財布を落として、それが異国の地だったので、本当に落ち込みました。そんなミスをする性格ではないはずなので、(日本語で)悔しい……。

Mark:(笑)。路線図の部分は、台湾ではほとんどの電車が各駅停車で同じホームなのに行き先が違う電車も少ないので、日本で苦労した思い出を歌っています。最初の頃は、それでたくさん遅刻をしてしまったんです(苦笑)。

――そして何より印象的なのは、この曲では日本のスタッフやファンの人たちとの思い出も歌われている、ということですね。

Shawn:「♪愛のムチ~」の「愛」の部分は、最初は日本のスタッフさんの名前で歌っていました(笑)。それに、日本のファンの人たちには本当に温かさを感じます。

――日本に来てからは共同生活をしたこともあって、さらにバンドの絆が強まったり、音楽についてより真剣に考える機会にもなったんですよね?

Shawn:そうですね。日本に来るという経験は、僕らにとってまるで人生が変わるような経験でした。「なんてラッキーだったんだろう」と今でも思っているくらいです。

JK:日本に来たときはまだライブの経験が全然なかったので、日本でたくさんやらせてもらう中で学ぶことがありました。ライブが終わったら一緒に住んでいた家で自分たちのその日の映像をチェックしながら、お互いに「ここはもっとこうしよう」という話を時間をかけてやりました。

――つまり、日本に来てnoovyは “ライブバンド”になったんですね。

Shawn:本当にそうだと思います。日本で学んだことを全部話すと、(日本語で)8時間くらいかかります(笑)。大丈夫ですか? 行きますよ……!

Mark:(笑)。それまでは、演奏ができるようになっただけで「この曲はできた! はい、次!」という感じでした。でも、いくつもライブをやっていく中で「この曲をお客さんはどんな風に聴いてくれるだろう? 僕らが伝えたいことを演奏で伝えるにはどうすればいいんだろう?」という風に、曲の感情をより伝える工夫をするようになったと思います。それに、最初は4人の音が一緒に鳴っている感じがなくて、ひとつひとつの楽器が鳴っているような雰囲気だったものが、ひとつのバンドサウンドになれたんじゃないかと思うんですよ。

――なるほど。その雰囲気は今回の『Garage』の曲を聴かせてもらっても、すごく印象に残ったことのひとつでした。

JK:今はセットリストも自分たちで組むようになりました。前後に出演するバンドのことも考えて「今日はこういうテーマにしよう」と工夫をしているし、何度も観に来てくれるお客さんもいるので、その人たちが飽きないような工夫をしたりもします。初めの頃の僕らは、お客さんの目も見られないような感じだったのに(笑)。

――日本には台湾よりバンドがたくさんいることもあって、他のアーティストのライブに行って勉強をする機会も増えたんじゃないですか? 

Hank:MAN WITH A MISSIONの横浜アリーナでのライブはすごく勉強になりました。

Shawn:MY FIRST STORYやUVERworldも出ていた「『新宿スワンII』スペシャルライブ~SSIISL~」ですね。

Hank:台湾では、大きな会場でロックバンドが演奏している様子はなかなか観ることができないので、ライティングやお客さんとのコミュニケーションの取り方も含めて、色んなことがすごく衝撃的でした。

JK:UVERworldのTAKUYA∞さんの熱いMCも本当に勉強になりました。

Mark:あとは、『SATANIC CARNIVAL'17』で、ずっと好きだったCrossfaithのライブを初めて生で観られたのも印象的でした。想像していた以上に迫力が凄くて、ドラムの表現力についてもすごく参考になったので。

Shawn:この間出演した『TOKYO CALLING 2017』では、いつもやっている「Never Gonna Stop」に新しいアレンジを加えたんです。

Hank:もっとヘヴィなギターを取り入れたアレンジにしてみました。JKが最初に「この曲、ずっとやっているから変えてみない?」と言い出して、みんなで話し合った結果、Markがアイデアを思いついてアレンジができあがったんですよ。

――そしてラスト曲の「Hey! Ho!」は、英語詞で欧米のポップパンクやギターロックを思わせる楽曲になっています。この曲を演奏するときに大切にしていることは?

Hank:「Hey! Ho!」は他の2曲と比べると、4人が一緒に肩を並べて叫んでいるようなイメージで演奏している曲です。「Hey! Ho!」というコーラスもキャッチーで、「これから4人で頑張っていくぞ!」という曲ですね。ライブでも楽しみにしてほしいです。

Shawn:今回のシングルに入っている3曲は兄弟みたいな関係で、「Hey! Ho!」がお兄さん、「Garage」は真ん中の子、「イチバンボシ」が末っ子だと思うんです。この3曲は同じ夢を追いかける兄弟で、「イチバンボシ」は末っ子で泣き虫なんですけど、可愛らしく「頑張ってみるね」という感じ。「Garage」は、悩みもあって落ち込んでも「頑張っていこう!」という曲。そしてお兄さんにあたる「Hey! Ho!」は、力強く「頑張っていこうぜ!」と歌う感じだと思うので。「Garage」は最初からある曲なので、第5のメンバーでもありますね。

――日本でメジャーデビューを果たすということで、夢をひとつ叶えることになると思います。「Garage」で歌われる初期のみなさんがこれを知ったら、どう思うでしょうね?

Shawn:僕らは後にちゃんとデビューできることが分かっていたら、きっと怠けてしまうと思うので、絶対に知らない方がいいです(笑)。あの頃の自分たちがあったからこそ今があるし、どうなるか分からない状況で4人で頑張ってきたからこそ、今のnoovyがあると思うので。

Mark:だから、これからもずっとnoovyらしい活動を続けていきたいです。

JK:それに、いつかは自分たちが作曲した曲でアルバムも作ってみたい。みんなが好きな音楽がそれぞれ違うので、また新しい化学反応が起こるんじゃないかと思います。

――それはいいですね。いつか聴ける日を楽しみにしています。

全員:(と聞いてすぐに、ボイスパーカッションや机を叩いて出したビートに乗せて早速即興のメロディを延々披露しはじめる)♪Hey! Ho!……ラララ~ラララララ……(笑)。

(取材・文=杉山 仁)

■リリース情報
『Garage』
発売日:9月27日(水)
価格:初回生産限定盤 ¥1,700(税込)
通常盤 ¥1,300(税込) 
iTunesプリオーダー(6曲入りスペシャルver.)

<CD収録曲>
1.Garage
2.イチバンボシ
3.Hey! Ho!

<DVD収録内容>※初回生産限定盤のみ
「Garage」Music Video
「Garage」Music Video Making

<CDショップ別特典>※各店舗とも先着で無くなり次第終了。
・TOWER RECORDS(オンライン含む/一部店舗除く):「noovy生写真・オフショットver.」5種から1枚
・TSUTAYA RECORDS(一部店舗除く)/ TSUTAYAオンラインショッピングは予約分のみ:「noovy生写真・ソロカットver.」4種から1枚
・HMV全店(ローチケHMV含む/一部店舗除く):「メンバー公式キャラクターステッカー」4種から1枚
・応援店舗特典:「noovy生写真・集合カットver.」4種から1枚

■グッズ情報
・4人のキャラクターがデザインされた「クリアファイル」:1,200円
・4人のキャラクターがデザインされた「マグネット」:800円
・noovyオリジナルマフラータオル:1,500円(販売中)

■イベント情報
『noovy「Garage」発売記念イベント』
9月28日(木)19:00~ 東京都・HMVエソラ池袋
9月29日(金)19:00~ 神奈川県・タワーレコード横浜ビブレ店
9月30日(土)12:00~ 東京都・タワーレコード渋谷店
9月30日(土)18:00~ 東京都・TSUTAYA池袋

noovy「Garage」発売記念・forTUNEイベント
10月28日(土)都内某所 
<イベント内容>
第1部:メンバーそれぞれとの2ショット個別撮影会(衣装はブレザー制服)
第2部:個別私物サイン会&握手会
第3部:メンバー全員とのグループ撮影会(衣装はハロウィンにちなんでコスプレ衣装予定)
第4部:メンバーそれぞれとの2ショット個別撮影会(衣装はハロウィンにちなんでコスプレ衣装予定)

■関連リンク
noovy オフィシャルサイト
noovy スタッフTwitter

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