アイドルに国境はないーーアジアに広がるAKBグループの海外展開を考察

AKBグループのアジア展開を読む

 またバンコクでもAKB48グループはイベントやライブを多く開催しているため、知名度が高い。BNK48は2017年2月に1期生がお披露目され、2017年4月にはAKB48から伊豆田莉奈の移籍が発表された。伊豆田は「初めてバンコクに行った時から、私の名前の応援うちわが日本よりも多かった。2回目には、1番コールも大きくて、ファンが増えていた。新しいことをやってみたいなと決心した」と意気込みを語っていた(参考:日刊スポーツ AKB伊豆田莉奈がBNKへ「トップスターになる」)。日本では『AKBINGO!』や「AKB48のあんた誰?」(NOTTV)といったバラエティ番組でも活躍していた伊豆田。彼女の安定したトークスキルと存在感は、メンバーやファンの間でも定評がある。

MNL48のビルボード

 まだ日本からの移籍メンバーはいないが、マニラにはMNL48が誕生する。MNL48は、オーディションで選ばれた候補者から総選挙(ファンによる投票)で64位以内のメンバーが採用。2年目以降は、前年のメンバーとオーディションの候補者を対象にした「総選挙」で、メンバーを決定することが発表されている。先日、筆者がマニラを訪問し空港を出た際も、目立つ場所に大きなMNL48のビルボードが建っていた。フィリピン人も動画配信サービスなどを通じて、AKB48グル―プのことを良く知っている。特に2年連続でフィリピンのイベントに参加しているAKB48チーム8は、現地でも大人気だ。

■日本と各国の「友好の架け橋」に

 メンバーは自ら志願して海外グループに移籍している。彼女たちにとって、言葉や生活習慣、仕事のスタイルも異なる海外で活動することは大きな挑戦だ。それでもジャカルタの仲川遥香のように、日本にいた時には想像もつかない活躍をしているメンバーもいる。

 現在、日本人が海外のタレントの動向をSNSでチェックするように、世界中の人々が日本のアイドルの活動をチェックしている。アジア諸国でもスマホが普及し、日本のコンテンツがいつでもどこでも視聴できる時代だからこそ、アイドルに国境はない。日本だけでなく世界規模で活躍できるアイドルがこれからも登場し、いずれは日本と各国の「友好の架け橋」になることが期待されている。

■佐藤 仁
シンクタンク研究員。ポップカルチャーやエンタメ・コンテンツが国際社会や日本経済に与える影響を研究。例えば日本とアジアのソフトパワーの源泉はどこにあり、これからどのように進化していくのかについてミクロ(個人単位)からマクロ(社会全体)まで幅広い視点から探求。

トップ写真=(C)TPE48

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