PKCZ®が語る、音楽シーンの現在と未来「90年代を見直そうというタームに入ってきている」

PKCZ®が語る、音楽シーンで目指すこと

若い世代は90年代の音楽の捉え方が自由

DJ MAKIDAI

ーーEXILE THE SECOND、三代目 J Soul BrothersをはじめLDHのアーティストも多数参加していて。ふだんの活動とは違った彼らの表現が楽しめるのも、このアルバムの魅力だと思います。

DJ MAKIDAI:せっかくPKCZ®のアルバムに参加してもらうんだから、いつもは出来ないことだったり、もっと濃い部分を出してもらいたかったんですよね。

VERBAL:進化が早いんですよね、みなさん。ELLY(CRAZYBOY)なんて2年前はラップ始めたばかりぐらいだったのに、いまはすごいですからね。「スタジオに遊びにくれば?」みたいな感じで来てもらって、その場でリリックを書いてもらったんですよ。その後、短期間で10曲分くらい書いてデモを渡された時はビックリしました(笑)。学習能力の高さと制作意欲には脱帽です。

DJ MAKIDAI:上から言うわけではないけど、すごく成長のスピードが速いんですよ。

VERBAL:これは余談ですけど、この前、GENERATIONSのライブを観に行ったら、(白濱)亜嵐くんがDJをやっていて。4つ打ちで盛り上げたところで「Everybody Fuckin’ Jump!」って叫んで(笑)、お客さんも「イエー!」みたいになっていて。それがすごくい い感じだったんです。僕だったら「Fuckinなんて言っちゃマズいかな」って思うかもしれ ないけど、亜嵐くんはぜんぜん迷いがなかったし、それは正しいことだなって。

DJ MAKIDAI:しかも爽やかなんだよね。

VERBAL:そう。亜嵐くんがそういうことをやってくれると、僕らもやりやすくなるし。

DJ DARUMA:GENERATIONSのメンバーもそうだけど、いまのシーンを見渡してみると、20代でカッコいいヤツがどんどん出て来てるんですよ。 KANDYTOWNとか CreativeDrugStoreやYEN TOWNなどを見ていても、ヒップホップを自由に解釈していて、すごくナチュラルに楽しんでいて。気張らない感じもいいんですよね。これは僕の個人的な意見なんですけど、90年代に20代だったアーティストーー電気グルーヴやスチャダラ パーやそれこそZOOの皆さんーーって凄く独特の余裕感があって、いまの20代の佇まいは それにすごく近いと思っていて。90年代を見直そうというタームに入ってきて、若者のテ ンションまで似ているのは興味深いですよね。

ーー若い世代のクリエイターが音楽やカルチャーのトレンドを自然に取り入れて、独自の解釈を加えて発展させているんですね。

DJ MAKIDAI:そう考えると、90年代を知っている自分たちがPKCZ®として2017年に活動 していることもいいことだなって思いますね。GENERATIONSやEXILE THE SECONDが参 加してくれることもすごく意味があるし。

DJ DARUMA:これはMAKIDAIが言ってたんですけど、「INTO THE CIRCLE」を聴いて 「『Hot Music』がもとになってるんだな」と分かる若い子はほとんどいないと思うんですよ。でも、それでいいんですよね。サンプリングの元ネタを知らなくても、「カッコいい な」というところで楽しんでもらえたら、継承してくれてることになると思うので。もちろん、どこかのタイミングで「Hot Music」を知って、「これって『INTO THE CIRCLE』 で使われていた曲だ」って気付いてくれたら最高ですけどね。

VERBAL:若い世代は90年代の音楽の捉え方が自由なんですよね。僕らはリアルタイムで 知っているし、良くも悪くも型にハマっているところがあると思うんです。「このトラックに歌を乗せるんだったら、こういう感じじゃないとダメでしょ」って。若いクリエイターはコード感やリズムによって「こういう感じも良くないですか?」と自由にメロを乗せてくれるから、僕らにとってもすごく新鮮なんですよ。これも余談ですけど(笑)、 Happinessがクリス・クロスの「JUMP」をカバーしたときもすごく良かったんです。彼女たちは当時のことを知らないと思うけど、だからこそピュアに表現できるというか。本当に知っているとコスプレっぽくなりがちだし、知らないからこその自然なエネルギーってありますからね。

DJ DARUMA:シンプルに「新しい、かわいい、カッコいい」というヴァイブスで捉えて るんだよね。

DJ MAKIDAI:そうだね。自分たちの体に入っている音楽が、1周回って“アリ”になってい るというか。服やダンスもそうですよね。

ーーアルバムが完成したことで、PKCZ®の役割もさらに明確になってますよね。2年前ではなく、このタイミングでリリースしたことも良かったのでは?

DJ MAKIDAI:そうですね。アルバムはひとつの目標だったんですけど、制作のミーティングのなかでHIROさんから「もっと海外のクリエイターをフィーチャーして、他のアーティストが羨ましいと思うような存在を目指してほしい」と言ってもらって。2年かかりましたけど、Afrojack、METHOD MANが参加してくれたことを含めて、存在意義を示せたんじゃないかなと思います。

DJ DARUMA

DJ DARUMA:最近だと、カルヴィン・ハリスやDJキャレドといったアーティストがそうですけど、いろんなアーティストを召喚しながら、自分のカラーを出すというスタイルがワールドスタンダードになってると思うんですよ。そういうタイミングでPKCZ®がこのアルバムを提示できたことも、良かったんじゃないかなって。m−floがやっていた「loves」シリーズもそういうスタイルだったけど、勿論その時はまだスタンダードではなかったしm−floはすごく早かったんですよね。

VERBAL:「loves」シリーズは究極の他力本願スタイルというところもあったけどね(笑)。僕らはもともと海外の音楽が好きで、アメリカのヒップホップをカッコいいと思っ て育ってきてるので、「海外のラッパーやシンガーと一緒に新しいことをやりたい」という気持ちが強くて。いまはそれがサクッとやれますからね。「曲が出来ちゃったから、リリースしません?」ということも増えると思うし、来年以降はさらにグイグイやりたいですね。

DJ DARUMA:7月に(世界最大級のEDMフェス)『Tomorowland』に出させてもらったの も、すごく良い経験になりました。向こうでは完全に新人なんですけど、だからこそ音楽 だけで勝負できるチャンスでもあって。3人でセットを考え抜いていまのベストをぶつけたんですが、すごく反応があったし「こいつら、いいじゃん」って感じで盛り上がってくれたんですよ。ちゃんと時代感を捉えて、戦略的にポイントを抑えながら表現すれば、ある程度は勝負出来るなって。そう思えたのも自信になりましたね。

VERBAL:16個のステージのなかで、2番目に大きいステージだったんですよ。しかも前 日にタイムテーブルが変わって、僕らの前にUmmet Ozcanというビッグアーティストが出 たんですよね。もちろんガッツリ盛り上げていたし、僕らがかけようと思っていた曲もガンガンかけていて、「これはビールとか飲んでる場合じゃないぞ」という感じになって。

DJ DARUMA:飲みたかったけどね(笑)。

VERBAL:(笑)。でも、いざやってみると思った以上にリアクションがあって。日本の国旗を掲げてくれる人もいたし、すごくいい経験でした。

DJ MAKIDAI:『Tomorrowland』のブランドもあるとは思うんですけど、僕らがやらせて もらった60分のセットに対する反応は正直だったと思うんですね。そこでいい感じに盛り 上げられたのは本当に良かったなって。音楽の表現はもちろんだけど、VERBALくんが英 語のMCで繋いでくれたし、お客さんも「日本のアーティストなんだな」とか「着てるものもおもしろいな」とかいろんな見方をしてくれて。来年以降も楽しみですね。

ーー期待してます。PKCZ®は多面的なプラットフォームとして機能していると思うし、日 本のシーンにも大きな刺激を与えそうですよね。

DJ DARUMA:そうなったらいいですよね。洋楽が好きだったり、クラブシーンに接してる人って、日本の音楽をあまり聴かない人も多いと思うんですよ。そういう人がコンビニで自分たちの曲を聴いて「日本語だけど、このサウンドの質感、めっちゃいいな」と思ってもらいたんですよね。もちろんアルバムを聴いてもらえたら嬉しいけど、まずは「こういう曲がチャートに入ってきたらおもしろくなるな」と思ってもらえる状況を作りたいので。

DJ MAKIDAI:大切なのはふり幅だと思うんですよね。多種多様な楽曲をPKCZ®から発信 することで、いろんなシーンに切り込んでいきたいなと。『360°ChamberZ』というタイトル通り、どこから見てもらっても、どこから入ってきてもらっても「いいな」と思っても らえるものを提示していきたいし、クリエイティブな発想で物事を捉えていきたいんですよね。それを形にできたのが、今回のアルバムだと思います。

(取材・文=森朋之/写真=竹中圭樹(D-CORD))

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PKCZ®『360°ChamberZ』

■リリース情報
1st ALBUM『360° ChamberZ』
発売:8月2日(水)
CD(全12曲+特典曲)+DVD(MV全4曲)
価格:¥4,000+税

<CD収録曲>
1. PLAY THAT feat. 登坂広臣,Crystal Kay, CRAZYBOY
2. Cult of Personality feat. EXILE SHOKICHI
3. World Is Yours feat. Crystal Kay, MIGHTY CROWN (MASTA SIMON&SAMI-T)
4. X-RAY feat. 三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE
5. UNITY feat. DOBERMAN INFINITY
6. Beauty Mark feat. 登坂広臣, SWAY
7. T-REX feat. Crystal Kay, CRAZYBOY, ANARCHY
8. CHAIN BREAKER (ALBUM Ver) feat. 登坂広臣, CRAZYBOY
9. ROAM AROUND feat. GENERATIONS from EXILE TRIBE
10. MIGHTY WARRIORS (ALBUM Ver) feat. Afrojack, CRAZYBOY, ANARCHY, SWAY, MIGHTYCROWN (MASTA SIMON&SAMI-T)
11. INTO THE CIRCLE feat. METHOD MAN (Wu-Tan Clan) & EXILE THE SECOND

<Producers>
Afrojack/Amon Hayashi/Chaki Zulu/DJ KIRA/NAOtheLAIZA/SAKURA/SUNNY BOY/☆Taku Takahashi (m-flo / block.fm)/YVES&ADAMS

<CD特典曲>
「BED ROOM feat. CRAZYBOY , 登坂 広臣」DLコード封入

<DVD収録曲>
OPENING CG「360° ChamberZ」
「X-RAY feat. 三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE」
「ROAM AROUND feat. GENERATIONS from EXILE TRIBE」
「INTO THE CIRCLE feat. METHODMAN(Wu-Tang Clan), EXILE THE SECOND」
「PLAY THAT feat. 登坂広臣,Crystal Kay,CRAZYBOY」

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<応募締切>
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