Mr.Children、西野カナ、MISIA、illion、銀杏BOYZ…各ジャンル代表するスターの新作に注目

 
illion『P.Y.L[Deluxe Edition]』

 昨年10月にリリースされた2ndアルバム『P.Y.L.』に映画『東京喰種トーキョーグール』主題歌「BANKA」を収録したillionの期間限定盤『P.Y.L [Deluxe Edition]』。「BANKA」とは挽歌、つまり、死にゆく者に対する哀悼の歌のこと。この曲の制作に対して野田洋次郎は「スクリーンの中でもがくすべての登場人物たちの未来に、わずかでも光がありますようにと願いながら」というコメントを寄せている。死ぬことを運命づけられた人々の存在を直視しながら<たとえこの身体も世界も 僕をかたくなに拒んでも/僕は明日を選ぶ>と語りかけるこの曲は、映画のストーリーに寄り添っているだけではなく、限りある生を与えられたすべての人に向けられた切実なメッセージであると言っていいだろう。ノイズ、ストリングスを交えたエレクトロトラックも、まるでこの世界のように不規則で、「BANKA」のコンセプトをさらに際立たせている。

illion「BANKA」×「東京喰種」特別SPOT映像
銀杏BOYZ『エンジェルベイビー』

 2017年10月13日に行われる初の日本武道館公演『日本の銀杏好きの集まり』に向けた、銀杏BOYZの3カ月連続シングルリリースの第一弾『エンジェルベイビー』は、ノイジーなギターサウンド、性急に突き進むビート、サビに向かってグングンと解放されていくメロディがぶつかり合う、(おそらくファンにとっては)“これを待っていた!”と快哉を叫びたくなるようなロックナンバー。<自意識と自慰で息がつまる頃/ラジオからロックが流れた>というフレーズに象徴される、ロックミュージックから受けた衝動をストレートに描いた歌詞にも激しく心を揺さぶられる。新たなアンセムとなること必至の「エンジェルベイビー」によって銀杏BOYZは、ついに次のピークに向かって進み始めることになるだろう。峯田和伸はやはりすごいと、改めて実感させられる名曲だ。

銀杏BOYZ - エンジェルベイビー(MV)

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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