バスタ・ライムスら出演! EXPGニューヨーク校主宰『HOUSE OF EXILE』現場レポート

「HOUSE OF EXILE」現場レポ

10代の新世代ダンサー

 若い女性客からもっとも歓声を浴びたのが、ミシガン州出身の20歳と17歳の兄弟ラップ&ダンス・デュオ、エイヨー&テオだ。今やシングル「Rolex」がビルボード・ホット100の30位にランクインし、メインストリームを快進撃中だが、そもそもは2011年に14歳と11歳で始めたYouTubeチャンネルで同世代の人気を掴んだ。「Rolex」を作った動機もローレックスの時計が欲しくても当然買ってもらえず、だったらSNSを使って曲をヒットさせて買おうという、この世代ならではの思考だ。今では彼らの左右両手首に“ローリー(Rolex)”が輝いている。今、二人はYouTube78万人、インスタグラムではエイヨー100万人、テオ190万人のフォロワーを持つ。

エイヨー&テオ

 同世代ダンサーとしてエイヨー&テオと共演することが多く、この日も共にステージに立った西海岸の15歳がキダ・ザ・グレイトだ。キダも妹2人を従えてのホームメイドのダンスビデオがYouTubeで人気を博し、昨年は公開オーディションのリアリティ番組『So You Think You Can Dance』で優勝して“新世代のダンサー”と呼ばれている。インスタグラムのフォロワーは100万人。

 こうした10代のダンサーたちを大人はほとんど知らないが、小中高生ならYouTubeにより、ほぼ例外なく知っている。それを目敏くキャッチし、かつ育てようとする第一線のアーティストがいる。エイヨー&テオ、キダ・ザ・グレイトは昨年、揃ってアッシャーの「ノー・リミット」、クリス・ブラウンの「パーティ」のPVに出演している。これにより20代以上の層にも一気に認知されることとなった。(「パーティ」には日本人ダンサーのRIEHATAも出演し、日本語のセリフもある)

世代も国も超えて

 このようにダンサーの多くは幼い時期に家庭、学校、教会、そしてストリートでダンスを覚える。ブライアン・グリーンの母はハッスルやサルサを踊り、兄はBボーイだった。妹と踊るキダも、ダンスを教わったのは年の離れた兄からだと言う。その兄も幼い頃から地元の友だちと踊っていたはずだ。新世代ダンサーの新しいところは、地域それぞれで生み出された特有のダンスをYouTubeによって瞬く間に全米はおろか全世界に広めてしまうこと。ここが以前の世代との大きな違いだ。

Jr.EXILE from PROJECT TARO
FANTASTICS
CRAZYBOY

 今回のイベント "HOUSE OF EXILE" に日本人はJr.EXILE from PROJECT TARO、EXILEの世界を含むダンス・ユニットFANTASTICS、CRAZYBOY(三代目J Soul BrothersのELLY)が出演した。ダンスの魅力は人種も国籍も年齢も性別も超えて誰もが一体となれることではあるが、アメリカでは個々のダンサーのバックグラウンドがそのダンサーの基礎を形作っている。日本からの出演者の中にもCRAZYBOY(ELLY)のようにミックス(ハーフ)もいたが、一般的には日米の社会背景は大きく異なる。日本人ダンサーにとってニューヨークを訪れ、アメリカのあらゆる世代、あらゆるスタイル、あらゆる地域出身のダンサーと場を共にし、共演したことは「違い」を「個性」と捉え、さらには「武器」として活かすための大きなインスピレーションになったのではないだろうか。

 あらゆる世代、あらゆるスタイル、東海岸/西海岸、そして日本のダンスが凝縮された"HOUSE OF EXILE"。まさに現在のダンスシーンのショーケースとして、非常に価値ある構成だったと言える。

(取材/文/写真=堂本かおる)

■セットリスト
1. Kids Dancers
2. Francoth3artist
3. Fantastics(SEKAI from EXILE)
4. < Dance Battle >
5. RJ
6. Vasco & Indigo
7. Jr. Exile from Project TARO
8. Kida the Great
9. Ysabelle and Friends(w/Jr. Exile)
10. Soraya Lundy - Banji Twerk Team
11. Brian Green/Ejoe Wilson/Popin Pete
12 Ejoe w/Venom
13. Crazyboy(aka ELLY)
14. Ayo and Teo
15. < Dance Battle Final >
16. Busta Rhymes
17. Tinashe
18. Mobb Deep

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