『アリスと蔵六』が示す新しいアニメ音楽ーーミト、松井洋平、伊藤真澄、コトリンゴらが作品彩る

 また、『アリスと蔵六』のエンディングテーマ「Chant」は、伊藤真澄も在籍するtoi toy toiが担当している。メンバーは伊藤のほか、昨年映画『この世界の片隅で』の音楽で脚光を浴びたコトリンゴ、Babi、良原リエからなる、トイピアノをメインとするカルテットだ。toi toy toiは、前クールのアニメ『小林さんちのメイドラゴン』(TOKYO MXほか)で音楽を担当していたことも記憶に新しい。

 この『小林さんちのメイドラゴン』では、同じく音楽に伊藤真澄とミトも参加しているほか、エンディングテーマの「イシュカン・コミュニケーション」の歌詞を松井洋平が担当するなど、それぞれ個人名義ではありながらもTO-MASメンツも集結していた。さらに、コトリンゴは過去にミトのソロアルバムにも参加するなど、個々のつながりも深い。このあたりからも、今回の『アリスと蔵六』にそろったクリエイター陣の相性の良さがうかがえるだろう。

 このように、豪華音楽制作陣が集った『アリスと蔵六』。これまで、アニメ音楽は専門の劇伴作家が手掛けるパターンが主流だったが、こうしてアニメ以外のジャンルでも活躍するアーティストたちが続々と参入することで、音楽ファンも取り込んで新たなアニソンの潮流が生み出されていくのではないだろうか。

 ■まにょ
ライター(元ミージシャン)。1989年、東京生まれ。早大文学部美術史コース卒。インストガールズバンド「虚弱。」でドラムを担当し、2012年には1stアルバムで全国デビュー。現在はカルチャー系ライターとして、各所で執筆中。好物はガンアクションアニメ。Twitter

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「音楽シーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる