LiSAが語る、自身の快進撃と活動スタンス「一番の目標は『長くみんなと生きていきたい』」

LiSAが語る“快進撃”と変化

たったひとつの目標――みんなを楽しませるために

──引き続きこれまでのキャリアについて、聞いていきたいと思います。2011年4月にソロデビューしたとき、正直なところ、どこまでの未来を想像していましたか。

LiSA:私は目標として「どこに行けるか」ということが、当時はまだ何もわかってなくて。そもそもデビューすること自体が一番の夢だったし、そこに追いつくまでがすごく長かったので。じゃあデビューしました、というときに、その先どこに行きたいかと言われても「逆にどこがあるんですか? デビューした人たちって、次にどこに行くんですか?」という感覚で(笑)。そう考えたときに、一番わかりやすく「自分がスターになる」「ミュージシャンとして一人前になる」というひとつの場所が、「ロックといえば/アーティストといえば、武道館」だったので、次の目標はその場所に行くということだけでした。

──なるほど。でもその武道館という舞台にも、すでに何度も立っていますよね。最初の武道館とそれ以降の武道館とでは、印象や感じ方に違いはありましたか。

LiSA:初めて立ったときはプレッシャーが大きくて、自分のなかで100%出し切れたわけではなかったので、「私、ここまで来れたけれど、武道館に負けたなぁ」と思ったんです。でも、2回目の武道館でそのリベンジを果たすことができて。そのときに武道館が自分の“仲間”になったような感覚がすごくあって、やっと一人前のアーティストになれた気がしました。

 でも、じゃあその後に何をしようかとなったときに、やっぱり目指すものが何にもなくて。「2年生の次が3年生だとしたら、3年生ってどこに行けばいいんですか?」っていう感覚でした(笑)。幸い、2回目の武道館はチケットもすぐにソールドアウトになって、それでもどのぐらいの人たちが自分を求めてくれているのかが、正直わからなかったんです。だから、自分がどのキャパまでできるのかを知るために、次は幕張メッセに行ってみようと。そうしたら、1万5000人も集まってくれて。

 それでも相変わらず、「次はどうしよう? ここからどこに行くのが普通なんですか?」って、目指すべき場所がわからないから、それならみんなで一緒に楽しく遊べる会場を探そう、と思ったんです。そこで何がやりたいか、と考えたときに、「私、自転車で空を飛びたい!」と言って(笑)。

──『ET』じゃないですか(笑)。

LiSA:ふふふ、そうなんです(笑)。そこで、「武道館や幕張メッセでは飛べないよ、もうアリーナしかないよ」と言われたんですよね。そこで、「それなら横浜アリーナでやろう!」と。だから、自転車で飛ぶ、という目的のために、横浜アリーナ2DAYSが決まったんです(笑)。

──最初の武道館のときはそこに到達するのが目的だったけど、横浜アリーナは“みんなで一緒に楽しむ”という目的のために選ばれた、ということですね。

LiSA:そうなんです。で、その2日間もソールドアウトして、たくさんの人が来てくれて。そうなると、もう本当に次の目標がわからなくて……どのぐらいまでの規模なら、みんな来てくれるのか。今一緒に生きている人を誰ひとり漏らさずに、みんなと一緒に楽しめる空間ってどこ? 今の自分のキャパってどこが適正なの?って。そうやって考えながらひとつずつ進んでいったら、「次はさいたまスーパーアリーナ2DAYS、アリーナツアーだ!」ということになりました。やっぱり一歩一歩なのですが、振り返るとなんかすごいことになってるなぁという感覚です。

──それをたった6年で成し遂げてしまうというのは、ペース的にも実際すごいものがあると思うんです。

LiSA:本当にすごいと思います。「その要因って何なんですか?」って自分に問いかけるんですけど、私が言えるのは、一つひとつ誠実に、みんなのことを思って、みんなとただただ楽しみたいと思って作ったな、ということで。それは自分だけが楽しみたい、自分でやりたいことをやっているというよりも、やっぱりみんなと何をしたら楽しいかな、みんな何をしたら楽しんでくれるかな、っていう考えなんです。そこが一番譲れないところですね。

 私はパンクをやりたくてバンドで挫折して、じゃあ自分自身が必要としてもらえる場所を探そうと思って、そこで必要としてもらえた場所がアニメの世界だったんです。LiSAというシンガーは、その人たちに必要としてもらえる、その人たちが楽しんでくれることをしようっていうスタンスからスタートしていて、そのスタンスはブレていなくて。そうやって、信頼をみんなと一つひとつ勝ち取ってきたんじゃないかなと思います。

──本当に、環境と一緒に自分が作られていったということなんですね。

LiSA:本当にそうだと思います。だって、ライブに来て応援してくれる人たちがいなかったら、さいたまスーパーアリーナでやろうなんて思わなかったし。私の夢は武道館で終わっているんだから、「この先も武道館でずっとやり続ければいいじゃん」って思っちゃう。でもたくさんの人がいてくれるんだったら、その人たちがいてくれるうちに自分ができる楽しいことをやろうと思うんです。

 すごく現実的な話で、アリーナ公演ってそれだけの人がお金を払って来てくれるからこそ、叶うことですし、だから自転車で飛べるわけであって(笑)。それも全部お金がかかることだから、ライブハウスのキャパではできないんですよ。横浜アリーナやさいたまスーパーアリーナだって、1日だけじゃ現実的じゃないんですよね。自分がどうしても今ドームをやりたいと言っても、必ず人が集まってくれるという確信がなかったらできない。それはやっぱり需要の問題で、別に自分だけの夢を叶えるつもりは全然なくて、その人たちとどうやって楽しもうかなと考えています。

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