欅坂46がわずか1年で築いた独自の“型”、そして2年目の表現に寄せる期待

欅坂が築いた独自の“型”

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 欅坂46が早々に築いた表現の型はこの一年で、想像以上の勢いで反響を呼んだ。もちろん、その中心には象徴としての平手友梨奈がいる。急速にカリスマ的なアイコンになった彼女は、受け手の解釈をさまざまに喚起する存在になった。この日のライブでも、言うまでもなくその立場は揺るがない。欅坂46が彼女に宿した超越性は、グループの大いなる武器である。けれども、もしくはだからこそ、平手のみを絶対的な軸としない表現の提示も不可欠だ。現時点でも、シンボルとしての平手をセンターに戴きながらも、このグループが実現しているパフォーマンスの幅はそれのみに収斂するものではない。その意味でも、“青空とMARRY”や“FIVE CARDS”といったユニットの楽曲がライブの要所で存在感を持ったことは、2年目の展開に向けて重要である。

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 また、欅坂46に関してしばしば注目されるようなレジスタンスとしてのイメージも、このグループがもつ総合的な表現の性質を考えれば、あくまで一側面にすぎないはずだ。グループが育ててきた群像としてのパフォーマンスを別次元へと押し上げた「二人セゾン」での達成をみるとき、欅坂46が一面的なイメージのみで解釈していいほど可能性の小さなものではないことがはっきりとわかる。

 だからこそ、2年目を走ってゆく欅坂46にとって、メンバーと制作陣によって培われたこの表現の型を用いて、いかに多様なモチーフ、多様な方向性を見せていくかは鍵になるだろう。少人数ユニット曲の増加や、アンコールで発表されたひらがなけやき増員などは、その萌芽を見せるものである。一年という短い期間で明確な基調を打ち出し、トレードマークとなるイメージを作り上げた欅坂46。その成果を突きつけた1周年記念ライブを経て、次はよりロングスパンを見据えた表現への期待がかかる。

■香月孝史(Twitter
ライター。『宝塚イズム』などで執筆。著書に『「アイドル」の読み方: 混乱する「語り」を問う』(青弓社ライブラリー)がある。

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