長澤知之のライブには“緊張”と“開放”があるーー10年のキャリア総括したツアー最終日を観た

長澤知之のライブには“緊張”と“開放”がある

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 アンコールでは、長澤のしゃがれ声とスリリングな演奏が覇気迫る「THE ROLE」、イントロのギターリフがドリーミーな空間へと誘う「P.S.S.O.S.」を演奏。一度はステージを去るもその後も鳴り止まない拍手を受け、ひとり戻ってきた長澤。ギター一本で「コーデュロイ」を優しい音色で丁寧に届け、この日のステージは幕を下ろした。

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 緊張感と開放感。優しさと狂気。相反するそれらが交互に訪れるようなライブの空気作り、そしてソングライティングにおいて、長澤知之がシーンの中で傑出した存在であることは間違いない。サウンドから想起されるイメージや歌詞が紡ぐ世界は各曲ごとにその表情をガラッと変えるも、その歌声の圧倒的な存在感によって、すべてが「長澤知之の音楽」として結びつく。長澤知之の楽曲には、音楽が持つ美しさや豊かさが純粋に描き出されているように思う。ミュージシャンとして、アーティストとして、一途にその道を歩いてきた長澤知之は、これからどんな曲を新たに生み出していくのだろうか。その期待を高まらせてくれる、充実のライブであった。

(取材・文=若田悠希/撮影=岩佐篤樹)

■セットリスト
長澤知之『Nagasawa Tomoyuki Band Tour 'Kumo No Ito' 2017』
4月24日(月)恵比寿LIQUIDROOM

1. 片思い
2. MEDAMAYAKI
3. あんまり素敵じゃない世界
4. 明日のラストナイト
5. フラッシュバック瞬き
6. バベル
7. アーティスト
8. スリーフィンガー
9. EXISTAR
10. 夢先案内人
11. 三年間
12. パーフェクト・ワールド
13. はぐれ雲けもの道ひとり旅
14. 無題
15. 狼青年
16. STOP THE MUSIC
17. 神様がいるなら
18. R.I.P.
19. マンドラゴラの花
20. 蜘蛛の糸
21. 僕らの輝き
(Encore)
22. THE ROLE
23. P.S.S.O.S.
(W Encore)
24.コーデュロイ

長澤知之オフィシャルサイト

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