アジカントリビュート、清木場俊介、amazarashiなどにみる言葉と音楽の奥深い関係

 ドラマ出演をきっかけにした様々な出会い、そして、そこで感じたかけがえのないつながり。藤原さくらの2017年最初のシングル『Someday / 春の歌』に収録された「Someday」には、彼女自身の体験がリアルに反映されている。<ふたりが会うのは必然/ハッピーエンドじゃないと!>という愛らしいフレーズを持つ春らしいポップナンバーなのだが、その背景には“運命の出会いによって、自分は存在できている”という切実な思い。気軽に楽しめるポップチューンに普遍的なテーマを含ませたこの曲は、シンガーソングライターとしての彼女のセンスを強く証明していると言っていい。スピッツの名曲をカバーした「春の歌」は、映画『3月のライオン』の主題歌。一つひとつの言葉を丁寧に手渡すようなボーカルが心に残る。

藤原さくら - 「春の歌」 (short ver.)

 真舘晴子(Gt/Vo)、和久利泉(Ba)、渡辺朱音(Dr)による3ピースバンドThe Wisely Brothers。80年代のネオアコ系ギターポップ、90年代のオルタナティブロック、00年代以降のインディーロックのテイストをきわめて自然に反映させたバンドサウンドも魅力的だが、このバンドの親しみやすさを担保しているのは、彼女たちが紡ぎ出す歌詞の世界だろう。それを端的に示しているのが1st EP『HEMMING EP』のリードトラックの「サウザンド・ビネガー」。好きな男の子との接し方に悩み、<私センスなし子ですか>と呟く歌詞は、思春期の少女のキュートな心情を見事に言い表している。日常を気持ちよく彩ってくれる彼女たちの歌はこれから、さらに幅広いリスナーに浸透していくだろう。

The Wisely Brothers サウザンド・ビネガー【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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