すこっぷ、ゆうゆ、n-buna、buzzG、40mP……三月のパンタシア、異彩放つクリエイター陣を分析

三月のパンタシア楽曲彩る作家陣を分析

 そして本作で中核を担っているのが、イナメトオル名義でシンガーソングライターとしても活躍する40mPだ。本作は彼が手掛けたインスト曲「いつかのきみへ」(M1)から始まり、同じメロディを持つ「あのときの歌」(M12)でエンディングを迎える。NHK『みんなのうた』に「少年と魔法のロボット」を送り出していることからも分かるように、多くのリスナーに届く“王道感”が大きな魅力だ。ケータイ小説サイト「野いちご」のノベライズコンテストに課題曲として提供された「ブラックボードイレイザー」(M10)は、“黒板消し”という馴染みのあるアイテムから、これだけの物語が広がるか、と驚かされる。

 40mPは全体の構成にも目を配るセンスを見せており、「あのときの歌」では<終りと始まり その隙間にあるものを ただ、僕らは宝箱の中にしまう>というフレーズで、色とりどりの物語をひとつの作品に昇華している。そして、みあの透きとおり、ときに切なく絞り出すような歌声が、どの楽曲=物語にも深く溶け込んでいることが、三月のパンタシア最大の魅力といえるだろう。

 本作は楽曲単体でひとつの物語を構成しながら、全体として「青春」というひとつの物語のあらゆる側面を描いた作品と受け取ることもできる。ある人にとっては通り過ぎた、ある人にとってはまさにその渦中にある、ひとつの季節――その輝きや切なさ。「あのとき」という言葉への距離感はリスナーによって変わるが、それでもきっと共通して胸に響くものがある、美しいアルバムだ。

(文=橋川良寛)

■リリース情報
『あのときの歌が聴こえる』
発売:3月8日(サンパシの日)(水)
価格:初回生産限定盤(CD+BD)¥3,800+税(サンパシ価格)
※トールデジパック仕様
通常盤(CDのみ)¥3,000+税
<CD収録曲>
1. いつかのきみへ
2. はじまりの速度
3. day break
4. フェアリーテイル
5. イタイ
6. 青に水底
7. 群青世界
8. 七千三百とおもちゃのユメ
9. 星の涙
10. ブラックボードイレイザー
11. シークレットハート
12. あのときの歌

<BD収録内容>
1. はじまりの速度 -Music Video-
2. 群青世界 -Music Video-
3. フェアリーテイル -Music Video-
4. ブラックボードイレイザー -Lyric Video-
5. シークレットハート -Lyric Video-

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■ライブ情報
『MUSIC THEATER 2017』
日時:5月27日(土)・28日(日)
会場:さいたまスーパーアリーナ(アリーナモード)
出演:綾野ましろ/Aimer/ELISA/Kalafina/GARNiDELiA/ClariS/さユり/SawanoHiroyuki[nZk]/三月のパンタシア/シド/高垣彩陽/CHiCO with HoneyWorks/戸松遥/TrySail/春奈るな/FLOW/LiSA AND MORE…(五十音順・両日共通)
チケット:各8,000円(税抜)/8,640円(税込)
※チケット先行予約はこちら

『MUSIC THEATER 2017』イベント公式サイト
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