くるりは“現在”を鳴らし続けるーーベスト盤『くるりの20回転』リリース記念ツアーレポート

くるりは、“現在”を鳴らし続ける

 アンコールは、まず岸田繁によるアコースティック・ギターの弾き語りで「鹿児島おはら節」(2011年)。岸田繁がコブシを回して歌う一方で、ギターにはブルースの感覚もあった。まさに岸田繁にしかできない「鹿児島おはら節」だ。続いても弾き語りで「Baby I Love You」(2005年)。

 そして、再びバンド編成による「ばらの花」(2001年)へ。ミニマルなフレーズを繰り返す美しさも、エレクトロニカの影響を感じさせる繊細なサウンドも変わらない。「ワールズエンド・スーパーノヴァ」(2002年)は、テクノ色が濃いまま、この日は森信行のパーカッションが効いたサウンドになっていた。最後を締めくくったのは「Liberty&Gravity」(2014年)。くるり屈指の混沌とした楽曲でライブの幕は閉じた。

 『『くるりの20回転』リリース記念ツアー「チミの名は。」』は、予想とは裏腹に、素直にヒット曲をまとめて聴かせるようなライブではなかった。その代わり、現在のくるりのモードがどんなものであるのかを如実に体現してみせたライブだった。彼らの姿は、やりたくて仕方がないことがまだまだたくさんある子供のようで、とても結成から20年を経たバンドには見えなかったのだ。なにより、過去のすべてが「現在」へと収斂されていたのだから。

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(文=宗像明将/写真=岸田哲平)

くるりオフィシャルサイト

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