fhánaが初の京アニ作品主題歌で“踊った”理由「ダンス・ミュージックには主役がいない」

「fhánaがだんだん『何でもアリ』になってきている感覚はある」(yuxuki)

――towanaさんは以前「2016年のツアーを通して、ライブがより楽しくなってきている」と話してくれていましたが、「現在地」に限らず、今回の作品にはその雰囲気がより出ていますね。

towana:最近のレコーディングではいつも、歌った先にいる人たちや、ライブをしてきた中で自分の中に残っている光景を思い浮かべながら歌うようになっているんですよ。

佐藤:そもそも今回の作品は、ライブを想定して書いた曲が多いかもしれないです。「青空のラプソディ」も歌詞に<アリーナ>という言葉が入っていて、『Animelo Summer Live』(以下アニサマ)のように大きな会場で、掛け声だったりクラップだったりダンスだったり、みんなで楽しめるようなものになっているし。今ってちょっと、大変な世の中になってきているじゃないですか。格差が広がって、それに対する反発があって、イギリスがEUを離脱して、アメリカでドナルド・トランプ大統領が誕生して……。保護主義的というか、「自分たちさえよければいい」という風潮が強くなっていると思うんです。でも、『小林さんちのメイドラゴン』や「青空のラプソディ」は、「違うもの同士、上手くやっていこう」という作品なので、それもあってアニサマのような会場で、みんなで盛り上がることを想像したのかもしれない。

――ああ、なるほど。

佐藤:もっと言えば、そもそもアニメって「格差を越えていけるもの」だと思うんですよ。2014年のアニサマのタイトルが『Animelo Summer Live 2014 -ONENESS-』で、次が『Animelo Summer Live 2015 -THE GATE-』』だったのも象徴的ですけど、アニメが好きだと分かった瞬間に、有名人も経営者とか資産家も普通の会社員も、学生もニートも日本人も海外の人も、みんなが立場など関係なく対等になれる。その「階層を越えていくような魅力」が、色んなことの突破口になったらいいな、と思っていたんです。

――fhána自体も、アニソンだけではなくバンド・シーンやクラブ・シーンの人たちに愛されていて、色んなものを越えていける魅力を持ったグループですよね。ツアーにしても、今回はファイナルがZepp DiverCityで、バンドの人気もますます広がってきています。

yuxuki:それはもう、そうなっていたらいいなぁと思いますよ。

佐藤:もちろん、僕らは今ある場所も大切に活動していくつもりですけどね。ただ、キャパが大きくなったり、見晴らしのいいところに行けば、また見えてくるものは変わってくると思うので、「見晴らしよく行きたいな」とは思っていますね。

――それに加えて、今はfhána自身が媒介となって色々な人を繋いだり、紹介したいという気持ちも出てきているんじゃないですか?

佐藤:それに関しては、「ゆくゆくはそうなれたらいいな」という気持ちはある、という感じです。たとえば、ビョークは新しい音楽や技術をどんどん取り入れたり、先鋭的なクリエイターを起用したりして、それをみんなに伝えるハブになっていますけど、「fhánaもそんな風になれたらいいな」という思いはあります。そのためには、自分たちが確固たるものを持って、「いい曲を作るバンドだ」と評価してもらう必要がありますけど、今回色んなことを試して、新しい可能性も色々と感じています。今まで届いていなかった人にも届いてほしいし、どんどん色んな人を巻き込んでいきたい。今回のシングルは、特にそういう可能性がある作品だと思っているので。

――新年一発目のシングルで「新たな挑戦」が沢山詰まった作品ですし、これを作ったことで、今後できることもますます広がっていきそうです。

yuxuki:だんだん「何でもアリ」になってきている感覚はありますよね。

towana:私にとっても、今回のシングルは今までの自分にないものを出さなければ歌えない曲でしたし、そういう曲を年初めに出せるのはすごくラッキーなことで。これからももっと変わっていきたいし、1年を通して頑張っていきたいですね。

kevin:ぴったり10枚目のシングルでこういう作品ができたというのもキリがいい(笑)。

佐藤:今はまず、春からのツアーを成功させたいです。そして目標としては、17年のうちに新しいアルバムを作りたいと思っているんです。

――おお、それは楽しみですね。

yuxuki:今ちょうどいい曲ができてはじめていて、またいい意味で殻を破った面白い感じになってきているんですよ。あくまで今のところ、ですけどね。3枚目のアルバムに向けて「色々と模索する」という感じではもうなくて、そこに向かって具体的に「やるぞ」という雰囲気です。

佐藤:2ndアルバム以降初のシングルだった『calling』が「fhánaはこんな使命を持ってやっていく」という決意表明だとしたら、今回の『青空のラプソディ』はその気持ちを持って踏み出した、新たな旅の第一歩のような作品なのかもしれないですね。

(取材・文=杉山仁)

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『青空のラプソディ(アーティスト盤)』
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『青空のラプソディ(アニメ盤)』

■リリース情報
『青空のラプソディ』
2017年1月25日(水)
価格:アーティスト盤 ¥1,200(税抜)
アニメ盤 ¥1,200(税抜)

<収録内容>
・アーティスト盤
01.青空のラプソディ
作詞:林 英樹 作曲:佐藤純一 編曲:fhána
02.現在地
作詞:林 英樹 作曲:yuxuki waga 編曲:fhána
03.青空のラプソディ -instrumental-
04.現在地 -instrumental-

・アニメ盤※アニメイラストジャケット仕様
01.青空のラプソディ
作詞:林 英樹 作曲:佐藤純一 編曲:fhána
02.Forest Map
作詞:林 英樹 作曲:kevin mitsunaga 編曲:fhána
03.青空のラプソディ -instrumental-
04.Forest Map -instrumental-

■ライブ情報
『fhána Looking for the World Atlas Tour 2017』

北海道・cube garden
2017年4月14日(金)18:00開場/18:30開演
(問)WESS 011-614-9999(11:00~18:00)

愛知・Electric Lady Land
2017年4月22日(土)17:00開場/18:00開演
(問)サンデーフォークプロモーション 052-320-9100(10:00~18:00)

福岡・DRUM Be-1
2017年4月28日(金)18:00開場/18:30開演
(問)キョードー西日本 092-714-0159(平日10:00~19:00/土曜10:00~17:00)

大阪・なんばHatch
2017年5月6日(土)17:00開場/18:00開演
(問)ソーゴー大阪 06-6344-3326(平日11:00~19:00)

東京・Zepp DiverCity(TOKYO)
2017年5月12日(金)18:00開場/19:00開演
(問)H.I.P. 03-3475-9999(平日10:00~18:00)

<チケット料金>
[北海道・愛知・福岡公演]
スタンディング 6,000円(税込)※整理番号順入場
※ドリンク代別途必要 ※3歳以上有料

[大阪・東京公演]
1Fスタンディング 6,300円(税込)※整理番号順入場
2F指定 6,300円(税込)
※ドリンク代別途必要 ※3歳以上有料

■関連リンク
fhánaアーティスト公式ホームページ
ランティスアーティストページ

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