欅坂46「サイレントマジョリティー」は全てをかっさらったーー『アイドル楽曲大賞』アフタートーク

『アイドル楽曲大賞2016』アフタートーク(前編)

「2016年はアイドルのサイクルの早さをすごく感じた」(宗像)

ーー9位の私立恵比寿中学「まっすぐ」、16位の乃木坂46「きっかけ」、23位の同じく乃木坂46「サヨナラの意味」と杉山勝彦の作曲ソングが多く入っているのも印象的です。

ガリバー:乃木坂46は反面、杉山勝彦頼みなところもあると言えるので、来年は頑張ってほしいですね。グループ単体としては一番力を持っているというのは間違いないので。

私立恵比寿中学 『まっすぐ』
乃木坂46 『サヨナラの意味』

ーーメンバーもよく言っていますが、誰もが歌える国民的ヒット曲がないという点もあります。

宗像:ヒット曲がないと言っても売れてはいますよね。

ガリバー:一方で、国民的ヒット曲はなくてもいいんじゃないかというのがあって。毎年、年末にメドレーの中でAKB48が「恋するフォーチュンクッキー」、モーニング娘。が「LOVEマシーン」を歌っているよりかはいいんじゃないかと。乃木坂46にそれがないのはポジティブに捉えるといいことなんじゃないかな。「恋するフォーチュンクッキー」は、2013年の楽曲大賞1位も自然といえるものだったんですけど、前年のランキングでは上位に来なかったAKB48が1位になったという事実に会場が「本当に一位になるなんて!」というリアクションだったのも面白かったですよね。

宗像:AKB48+ブラックミュージック=無限大みたいな。その反面、今年は2位のBiSHが発表された時に「あー!欅か!」というような反応があった。

ガリバー:インディーズ1位のまねきケチャ「きみわずらい」も予想している人は多かったですからね。

[MV] まねきケチャ『きみわずらい』

宗像:今年は特にインディーズのランキングを見た時に、同じアイドルが上位に何度も出てくる。投票対象となるアイドルが限られてきているというのは感じましたね。TOP10にアイドルネッサンス、sora tob sakanaが共に3曲も入っている。

ガリバー:フィロソフィーのダンスもTOP20で言えば2曲がランクインしています。例えば、ベイビーレイズJAPANは、年末に赤坂BLITZで3DAYSワンマンライブを開催していたり、同時期にZepp DiverCity (TOKYO)、Zepp Tokyoでは、まねきケチャ、神宿、prediaがライブを行っていて。動員はあるのにも関わらず、そういったアイドルがランキング上位にほとんど入ってきていない。投票に繋がってこないというのは、参加層にまだ偏りがあるということですよね……。

宗像:アメリカ大統領選みたく、夏の『TIF』の段階で予備投票を始めるんですよ。俺らが「楽曲大賞でーす! 好きな楽曲選んでください!」と呼びかければみんな投票してくれるかもしれないから。

ガリバー:これは『TIF』のトークステージに出るしかないですよ……(笑)。

岡島:ファンが多くても楽曲大賞の上位に来ないアイドルは、ファン側があまり楽曲に興味がないのではないですか? 好きな曲はあるのだろうけど。順位に表れないというのは、それそのものの結果が表れている気がしますけど……。とは言え、バイアスというのは必ずあって、アイドルネッサンスファンに楽曲嗜好が多いのかもしれないし、2014年にアイドルネッサンスの「17才」が1位を取った時から心に響いて、投票を続けてくれているのかもしれないですし。

ピロスエ:アイドルネッサンスは古今の名曲をカバーするというのがコンセプトにあるので、それだけ楽曲の力が強いということだから、ランキング上位にくるというのは至極自然なことだと、逆説的に言えますね。もちろんグループの力もあるんだろうけど。

アイドルネッサンス「君の知らない物語」(MV)

岡島:同じグループの曲が上位に固まるというのは、楽曲の善し悪しのみでランキングしているという象徴的なものになっているのかもしれないですね。

宗像:一方で、楽曲大賞の上位にいるグループはまだ良くて、2016年はアイドルのサイクルの早さ、スパンの短さをすごく感じましたね。生まれては消えていく、スピードが早い。

ガリバー:それにみんな慣れてきてしまった。「また、この繰り返しかよ……」と。

岡島:「大切なお知らせ」のジャンクフード感がありますからね。iPhoneのメモ帳に文面を書いて、スクリーンショットしてTwitterにアップ、みたいな。姫乃たまさんがその一連の流れに対して、「引退の挨拶をスマホのメモ帳に打ち込んでスクリーンショットで済ませるような地下アイドルにはならないので安心してください」とツイートしていたのが印象的でした。

宗像:だからと言って、書道で書かれても困りますからね……。

一同:ははははは(笑)。

後編に続く】

(取材・文=渡辺彰浩)

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